昨日(4月3日)事実上の株式分割を行ったサーチエンジンの巨人グーグル。実は少し前からグーグルの株価がぱっとしない(相場があがってもついていかない)ことが多少気になっていた。気になっていた理由は少々グーグル株を保有しているからである。
グーグルの株式分割は一般に取引されているクラスA株式および創業者が保有するクラスB株式に議決権のないクラスC株式を1:1の割合で付与するというものだ。
株式数が倍になるので一株の株価は当然半分程度になると予想される。グーグルの株価は1,135ドルだったので、570ドル弱になるということだ。
グーグルがなぜこんなことをするのか?というと共同創業者セルゲイ・ブリンとラリー・ペイジ二人が持っている議決権株式割合を過半数以上に保ちたいからである。
共同創業者が保有するクラスB株式はクラスA株式の10倍の投票権を持っているので、現在の共同創業者の議決権は56%となっているが、今後グーグルが増資を行うと共同創業者の議決権割合は低下することが予想される。長期的な観点からグーグルを育てていきたいとする共同創業者としては、絶対的な支配権を維持することが必要なので今回の株式分割が行われることになった。
しかし2年前に株式分割案が提案された時、株主の権利(議決権)を奪うものだとして集団訴訟が起こされた。集団訴訟については和解されたが、その条件の一つが議決権のあるクラスA株と議決権のないクラスB株に流通価格の差が出た場合、その差額の一部をグーグルが補てんするというものだ。
過去の株式分割の事例では議決権株と非議決権株では株式分割後に差がついているケースが多い。もっともグーグルの場合は過半の議決権株式が共同創業者に保有されているので、あまり差がつかないのではないか?という見方もありそうだ。
ということで長期投資目的でグーグル株を保有している人にはあまり影響のない話のようだ。むしろグーグルの株価が半分になり、購入しやすくなることは長期的にはグーグルと投資家双方にメリットがあるのではないだろうか?