金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

不便さが懐かしいネパールの旅へ

2017年10月15日 | ネパールトレッキング

この日曜日(10月15日)からネパールに入る予定だ。

トレッキングで過ごす日が多いが、地震で壊れた小学校の復興現場も訪問する予定だ。

復興資金は我々のボランティア団体で用意しているのだが、復興作業は中々進まない。

当局の再建許可が遅れたことや、資材不足、熟練工不足などが原因のようだ。この辺りの実情をこの目で確かめて、ボランティア団体の幹部に報告するのもミッションの一つだが、どれ程理解されるかは今から疑問に思っている。

それは我々が「便利すぎる社会」に住んでいて、不便な国の状況をストンと理解できなくなっているからだ。

ネパールは不便な国だ。ちゃんとしたホテルでも時々停電することがある。風呂の蛇口をひねっても暖かい湯がでないこともある。お湯を貯めるタンクが空になっているのだ。

トレッキングに行くとロッジで「明日の朝食は何時にする?」と聞かれる。しかし頼んだ時間に食事がでることはほとんどない。コックさん達は怠けている訳ではない。ただトレッカーから様々なメニューのオーダーが入ると薪ストーブの火口が限られているので遅くなってしまうのだ。

日本の山小屋は朝も夜もメニューは一つなので、大量の食事を手早く用意することが可能だが、ネパールでは違う。トーストを頼む人もいれば、サンドイッチの人もいる。Porridgeというお粥を頼む人も多い。飲み物も各種のお茶からコーヒーまで様々だ。

これはネパールでトレッキング文化を生み出したイギリス人の教育によるものだ。

効率よりも個人の嗜好を大事にしている訳だ。

余談になるけれどお粥Porridgeを最初に頼んだ時、甘い味付けのオートミルが出てきて閉口したことがあった。

次の日には「僕のお粥は甘味抜きで作ってくれ。塩をふるから」と注文。Yes sirと返事は良かったが出てきたのは相変わらず甘いお粥だった。イギリス人に仕込まれた彼らからすると甘味のないお粥は出汁の入っていない味噌汁のようなもので、作ることができないのだろうと私は好意的に解釈したが・・・

このようにネパールの旅は不便なことが多いが暫くすると不便さになれてそれなりに楽しめるようになってくる。

ご飯が少し遅れても、行程にゆとりがあるので慌てる必要はない。お喋りをして食事を待とうと考えるようになる。

ガイドがよく声をかけるのが「ビスターレ、ビスターレ」という言葉だ。ゆっくり、ゆっくりという意味だ。

高度が高い場所で気忙しい歩き方をしていると、高山病になる可能性が高いからだ。

そこには24時間コンビニが空いていて、駅前には飲食チェーン店が並び、何でもいつでも好きなものを食べることができる日本の都会とは全く違った世界がある。

ネパールを旅しているとふっと不便さも悪くない、と思う時がある。棚田が広がる田舎の風景は100年以上の日本の農村風景に似ているのではないか?と思ったりする。

我々は便利すぎる社会を恩恵を享受しながら、時としてその引き換えに失った何かを懐かしむのかもしれない。

コメント
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