昨日(10月10日)日本版GPSを目指す測位衛星「みちびき」4号の打ち上げが成功した。みちびき4号は準天頂衛星で日本の真上に長く滞在するという特徴を持っている。
9月20日に内閣府・宇宙開発戦略推進局が発表した「準天頂衛星の利用活用について」によると、準天頂衛星システムの精度は数cmで米国のGPSシステム(精度約10m)よりはるかに高い精度を持つことが期待されている。
2018年4月から4機体制でサービスを開始し、2023年には7機体制を確立することで、常時日本の上に衛星4機が存在し、米国GPSに依存せずに持続測位が可能になると内閣府は述べている。
NHKのWEBニュースでは「これによって農業機械や建設機械の自動運転、それとドローンによる物資の輸送など社会のさまざまな分野で新たなサービス展開ができると期待される」と述べている。
WSJもこのニュースを取り上げていた。Japan's New Satellite to help keep self-driving cars-and North Korea-in line
「自動運転車と北朝鮮からの防衛を支援する日本の新衛星」がタイトル。
内容はざっと次のとおり。
・日本は商業目的の利用者により良い位置情報データを提供することを目的としていると述べている。現在のGPSでは高いビルディングにさえぎられて正確な情報を得られない場合があるからだ。
・日本の衛星システムは当面GPSと連動して機能するが、2023年には独立して運用することが潜在的には可能である。
・このシステムの最大の受益者は自動運転車を開発するものである。
・政府は北朝鮮や中国からの挑戦が高まる中で衛星システムの軍事利用について研究を行っている。宇宙政策委員会は、もし米国のGPSが機能不全に陥った場合に日本の衛星システムがバックアップするだろうと述べている。
・しかし軍事専門家は最終的には準天頂衛星システムは日本の防衛システムの独立性を高める可能性があると述べている。
精度の高い衛星システムは巡航ミサイルと組み合わせることで、万一北朝鮮からミサイル攻撃を受けた場合、報復攻撃が可能になるからだ。
技術的に精度の高い巡航ミサイルシステムを保有する可能性が高まってきたことは、巡航ミサイルの実装論を後押しする可能性が高いのではないかと私は観測している。
国防の概念・枠組みは科学技術の進歩に伴い、飛躍的に変化している。目新しいところでは北朝鮮が米韓の機密文書をハッキングしてのではないか?というニュースが流れていた。
国を守るということは、IT技術・宇宙開発技術などを含めた総力戦なのである。