金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

帰属意識が低い方がシニアライフは楽?

2017年10月03日 | シニア道

先日大学山岳部の同期生が集まる機会があり、昔話に花が咲いた。

同期生といっても全員が最後まで山岳部にいた訳ではない。最後まで残ったのは3割程度である。

私は最後まで残った組なので当時は「自分は所属集団への帰属意識が強い人間だ」と思っていた。

ところが年とともに山岳部OBの集まりに顔を出す機会が減ってきた。一番大きな理由は母校から離れたところで暮らしていることだと思うが、それを差し引いても、「寄れば昔の話をする」集団に魅力を感じなくなったことも大きい。

「所属集団」という点で我々サラリーマン経験者にとって一番大きな所属集団は会社である(家族といわずに会社というところが既に会社に毒されている?)。

会社には卒業後も〇〇支店OB会などという集まりがあるが、私はこのような集まりにもほとんど顔を出さない。

顔を出すのは「今何かをするための集まり」である。山登りについては元の会社の山好きと作った同好会があり、その連中とはよく山に出かける。もっともこの同好会はかなりオープンな組織で、仲間の外部の友達が参加して、今ではオリジナルメンバーより活発に活動している位だ。

日本の会社は「忠誠心」という形で所属集団=会社への帰属意識を求めてきた。忠誠心の高低はある階層以上の人事考課では一番ウエイトが高かったかもしれない。

集団の所属員に取っとも「帰属意識」を持つことは実は楽な場合が多い。何が楽か?というとあれこれ考えなくて済むからである。考えるということは脳を疲労させる。だから考えない方が楽な場合が多いのだ。

だが会社を卒業してシニアライフに入る楽をしてきたツケが回ることがある。

それは身の回りに家族以外に自分を包んでくれる帰属集団がなくなるからだ。家族といっても子どもたちは独立している場合が多いから、配偶者だけが身の回りの家族ということが多いだろう。退職した夫が妻に過剰な帰属意識を持ち、また妻の過剰な帰属意識を求めると「主人在宅ストレス症候群」だとか「夫源病」などと呼ばれる現象が起きる。

その原因は夫の会社への帰属意識が強すぎたことにある。

それは帰属意識の蓑に隠れて考えることをストップしてきたツケということもできる。

本当は仕事の上でも、組織ファーストではなく、目的ファーストで考えるべきだったのだ。何かを達成するために社内外の人材を集めてプロジェクト的に取り組むという訓練ができていなかったのだ、と思うことがある。

しかし働いている時は組織ファーストでないと、組織の階段を登ることができず、力を発揮する機会が少ない。力を発揮するポジションにいないとプロジェクトを回すことができない・・・

サラリーマンの一つの難しさはこの辺りにあると私は思う。組織ファーストから目的ファーストへのギヤチェンジができるかどうかが楽しいシニアライフを送ることができるかどうかの一つの分岐点なのである。

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出遅れている日本株は米欧に追いつけるのか?

2017年10月03日 | 投資

出遅れていた日本株がようやく上昇してきた。しかし日本株か過去にも高値をつけた後下落を繰り返しているので、投資家の期待を裏切ることが多かった。

WSJはAs Japan's stocks rally, is the recovery finally here?という記事で投資家の強気・弱気が交錯する状況を述べている。

上のグラフは米国・欧州・日本の10年間の株式リターンを示したものだ。日本株には腰の入った投資家が少なく、利食いが多いので中々株価が伸びない。現在のところ日本株は欧米株に較べると4割がた安いところで取引されているというのがプロの見方だ。

割高なものを売って割安のものを買うというのが、投資のコツであるとすれば日本株にもっと買いが入って良いはずである。

景気に対するセンチメントも良い。昨日日銀が発表した短観によると大企業・製造業のDIは4期連続して改善し、10年ぶりの高水準になった。

米国ではリーマンショック後の超金融緩和政策から正常化への舵取りが始まるほど経済は回復した。欧州も米国の後を追い始めている。日本ではまだまだ超緩和策は続きそうだが、景気回復の足取りは鮮明になってきた。

内外投資家の間でアベノミクスの成果として評価している企業統治についても一定の成果が出始めている。

企業の自己資本利益率は安倍政権発足時2012年の約5%という水準から8.4%に上昇した。

この辺りは日本株を買う理由として挙げることができる。

一方人口減少・賃金上昇の停滞・労働法改善の遅れ・財政赤字・政治地政学的なリスクの高まりなどは、日本株投資に腰が入らない理由として挙げることができる。

ではどうすれば良いのか?

私は日本株は銘柄選択的に投資するべきだと考えている。私は基本的にインデックス投資推奨派なのだが、日本株については特にこの時期インデックス型ではなく、銘柄選択的な投資をするべきだと考えている。その理由は簡単だ。

日本経済全体が拡大していくという時代はとうの昔に終わっているからである。どの産業のどのあたりにいるかということで企業が伸びるかどうかがはっきりする時代なのだ。だから投資する企業を選ばないといけない。

銘柄選択的に投資するということは必ずしも自分で個別株を買うことを意味しない。投資方針がはっきりしたアクティブ投信を買うのも一つの方法だ。

今後日本株が米国株など世界の株をアウトパフォームするかどうかは分からない(分かれば苦労しない)。

ただ投資方法によっては一定期間内は他の市場より高いパフォーマンスを上げることができる可能性は出てきたと考えてよいと思う。

一定期間というのは日本株の相対的割安感がなくなるまでである。

 

 

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