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カナダ・メキシコは例外扱い予想で米株は反発、しかしコーン氏の辞任は痛い

2018年03月08日 | 投資

昨日の米国株はゲイリー・コーン国家経済会議委員長の辞任に失望し、大きく売り込まれていたが、大統領報道官が「鉄鋼・アルミの輸入制限についてカナダやメキシコを例外扱いする可能性がある。他の国も安全保障を基準にケースバイケースで判断する」と発表した後、急速に値を戻しダウ・S&P500は小幅安で取引を終えた。

107名の米上院共和党議員がトランプ大統領に鉄鋼・アルミ輸入制限に反対する手紙に署名をした。このような状況下トランプ大統領がどのような判断を下すのかは分からない。

分かっていることはトランプ大統領には、経済政策に対するポリシーがないということだ。ゲーリー・コーン氏はトランプ政権が保護主義に傾くのを防いできた。共和党は従来自由貿易を標榜し、保護主義的な関税には反対の立場だった。コーン氏は民主党だが、共和党議員から最も信頼できる人物と評価されてきた。

トランプ大統領の鉄鋼・アルミ課税案は、北米自由貿易協定再交渉時に有利な条件を引き出すための布石のように見えるが、そのような戦術のために「自由貿易の促進」と基本命題を歪めるのは、あまりにもポリシーがないと言わざるを得ない。

「アメリカファーストが俺のポリシーだ」とトランプ大統領はいうだろうが、勝負はリングの上で行わなければならない。場外乱闘の連続ではだめなのだ。理念先行型の大統領も困り者だが、理念がなさすぎる大統領もまた困り者である。

自由貿易を支えてきたコーン氏の辞任はカナダ・メキシコ例外扱いでは埋められないほど大きいかもしれない。

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