WSJによるとスウェーデンの国土調査庁が不動産取引と登記にブロックチェーン技術を採用する予定だ。
既に技術的な準備は整っていて、数カ月以内に最初の取引が行われる予定だ。
デジタル化とペーパーレス化が進んでいるスウェーデンでさえ、不動産取引と登記には3カ月~6カ月かかると言われているが、ブロックチェーン技術を導入するとそれを数日場合によっては数時間に短縮することが可能だとブロックチェーン技術擁護者は語っている。
もっともスウェーデンでもデジタル署名による不動産取引は法的に認められていないので、本格運用には法改正が必要だという話であるが。
ブロックチェーンのメリットは取引・登記時間の短縮だけではない。ブロックチェーンで共有された情報は「改ざん」が極めて難しいので、不正取引の排除にも役立つ。
ブロックチェーン技術を不動産登記に活用する動きはスウェーデンだけではない。アメリカ・インド・ジョージア(グルジア)などでも始まっている。
さてこのような動きは日本にも波及するだろうか?
現時点ではこの点について私は極めて悲観的だ。その理由は技術的には「登記のデジタル化が進んでいない」ということだ。だがそれよりも前に所有者不明土地が多過ぎることや不動産の身元を示す地籍調査が半分程度しか進んでいないことだ。
欧州諸国・台湾・韓国では地籍調査は100%完了していると言われているが日本ではまだ半分という有様。
相続等で所有権が移転しても、登記されていない土地が山積みされている状態では、ブロックチェーンの使い様もない。
不動産に関する日本の課題は多過ぎるのである。