金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

トランプ大統領と金正恩氏が5月までに頂上会談

2018年03月09日 | ライフプランニングファイル

今日(3月9日)少し前にロイターに「トランプ大統領が5月までに北朝鮮の金正恩労働党委員長と会うことに合意した。何故なら彼は実権者だからだ」というニュースが流れた。このニュースの後日経平均は400ポイント以上定したが、その後は少し値を下げたものの高値圏で推移している。ドル円為替も106円台後半に円安に振れている。

市場はこのニュースを好感しているようだが、会談実現までには幾つかハードルはある。まず4月の文在寅韓国大統領と金委員長の会談だ。そしてその前にパラリンピック終了後まで延期されていた米韓合同演習をどうするかという問題もあるだろう。

さてそれらがうまく運んだとして北朝鮮は何を譲歩するか?その譲歩を米国は受け入れるか?という問題がある。北朝鮮が核と大陸間弾道弾の開発を全面的に放棄すれば、米国は経済的援助を提供するだろうが、それでは金政権は何を「人質」にして延命を図ることができるのか?ということになる。

金正恩は「米国が金政権を打倒しない」という担保を求めるだろうが、その担保は何なのか?

一つの可能性は大陸間弾道弾の開発は認めないが中距離ミサイルの保有・開発は認めるという案だ。これは韓国・日本を担保に差し出す方式である。何でもありのトランプ大統領だから何が飛び出すは分からない。

だが少し長い目で見ると北と南は平和裏に統合を図ることができるのか?という根本的な疑問が起きる。

政治体制・国民の価値観・教育レベル・一人当たりGDPなどがあまりに違い過ぎて、統合の道筋は私には見えてこない。

頂上会談を全面的な買い材料にするには早すぎるようだ。

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仮想通貨、規制強化に舵取り

2018年03月09日 | ニュース

昨日(3月8日)金融庁は立ち入り検査の結果に基づき、2業者に業務停止命令を出し、5業者に業務改善命令を出した。

世界で一番仮想通貨交換業者に関する規制が緩いと言われている日本も漸く規制強化に動き出した。

金融庁は昨年(17年4月)に資金決済法を改正し、仮想通貨交換業者に登録制を導入した。銀行や保険は免許制なので明らかに新規参入が容易だ。その背景にはコストの安い資金決済手段を発展させ、フィンテックのイノベーションに弾みをつけようとした狙いがあると考えらえる。

改正資金法では「仮想通貨」が電子的に記録された財産的価値で不特定の人の支払に利用可能として「通貨」という位置づけを与えられた。

おそらく世界中で「仮想通貨」を法律で「通貨」と明確に位置付けた国は日本だけではないだろうか?

東南アジアなど発展途上国では「仮想通貨」へ自国通貨が流出することを恐れ規制している国が多い。例えばインドネシアの中央銀行は昨年「仮想通貨を正規の決済手段として認めない」という声明を出している。

仮想通貨を決済手段として認めてしまうとマネーロンダリングなど様々な問題を引き起こす可能性があるから各国一様に慎重と考えてよい。

アメリカでは最近証券取引員会が仮想通貨取引所は証券取引所と同様に証券取引所に登録すべきだ」という見解を示した。

仮想通貨とは何か?ということを一義的に定義することは難しいが、その荒っぽい値動きや利用目的(大部分は投機であり、送金等資金決済に使われる比率は少ないと思われる。少なくとも日本では)から考えると私は「通貨」という位置づけは難しく、現時点ではコモディティ(金・石油など)の一種と位置付ける方が良いのではないか?と考えている。

もっとも三菱UFJ銀行などが、発行価格近辺で価格が推移するような仮想通貨を発行して、投機目的ではなく、決済手段として仮想通貨が使われる時が来るかもしれない。そうなると仮想通貨は法定通貨を補完する「代替通貨」として位置づけられるかもしれないが。

各方面で腰が重く、欧米先進国の後追いが目立つ日本の金融行政だが、仮想通貨に関しては一歩先に踏み出した。

それが勇み足になるかイノベーションへの嚆矢になるかは分からないが。

なお個人的には仮想通貨に関心はない。何故なら仮想通貨自体は株式のように本源的価値を持つものではなく、需給や思惑で動く投機対象だからである。

 

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