昨日(3月19日)米国株はフェイスブック株の急落とそれに追随したハイテク株の下落で大きく値を下げた。
フェイスブック株が急落した理由は、ニューヨークタイムズが「米大統領選でトランプ陣営の有権者分析会社ケンブリッジ・アナリティカがフェイスブックの個人情報を個人ユーザの許可なく悪用し、トランプ大統領の選挙運動に活用した」と報じたことだった。
ニューヨークタイムズの記事はケンブリッジ・アナリティカ(英国の会社)の元従業員の証言を元にしたものだ。なおフェイスブック側は、「これは詐欺であり、同社は問題のデータが削除されたかどうか確認するためと個人情報を悪用した者に対する対抗処置をとるために必要な行動を起こす」と発表した。
フェイスブックの個人情報は英国内の選挙でも悪用されている疑惑が持たれている。このため英米両国でフェイスブックのCEOザッカーバーグ氏に対する証人喚問を求める声が高まりそうだ。
だがこの問題はそこだけには留まらない。
実はケンブリッジ・アナリティカ社に有権者データ収集のための資金を提供した人物としてロバート・マーサー氏の名前が浮かび上がってきた。
マーサー氏はIBMに勤務したこともあるコンピュータ科学者で、ガチガチの右翼の富豪と言われている。
マーサー氏はトランプ氏の大口資金援助者であり、彼がトランプ大統領の政策に強い影響力を持っているのではないか?という推測も働く。
また仮にフェイスブックにデータ漏洩などの規制違反がなかったとしても、IT会社の持つ「消費者データなどから有権者に受けの良い選挙公約の作成」などとネット情報が世論形成と選挙戦に大きな力を持つことが次第に明らかになりつつある。マスコミ・議会なども関心を高めるだろう。
従ってこの問題は相当根が深そうで、相場を牽引してきたIT銘柄が下落または足踏みする可能性は高い。