WSJにBetter family policies could draw millions of workers into labor force, resarch showsという記事が出ていた。
「より良い家族政策で数百万人の労働者を労働人口に加えることができるかもしれない」という意味だ。ただしFamily policiesを家族政策と訳してしまうとピンとこないところがあるので、政策の具体的内容である「家族休暇(従来は出産休暇と呼んでいた)や家族支援政策」と解釈した方が分かりやすい。もっと平たく言うと「従業員家族のための福利厚生制度」と考えてよいだろう。
サンフランシスコ連銀のレポートは米国とお隣のカナダの労働参加率の違いが何に起因するのかを分析し、その大きな原因が従業員家族のための福利厚生制度の厚みの違いにあると結論付けている。
働き盛りの労働参加率は米国が82%でカナダは87%。男女別の労働参加率の差を見ると男子についてはカナダの労働参加率が米国の労働参加率を約2.5%上回るのに対し、女性の労働参加率はカナダが米国を8%上回っている。
つまり「米国とカナダの労働参加率の違いの3/4はLabor force attachment of womanの差が拡大していることで説明できる」とレポートは述べている。
Labor force attachmentという言葉も簡単な日本語に訳し難い言葉だが、最近のはやりの言葉でいうと「ワーク・ライフ・バランス施策」と理解しておいてよいだろう。
つまり米国よりカナダの方が女性従業員に対するワーク・ライフ・バランスを支援する家族休暇などの福利厚生制度が充実しているので、女性労働者の労働参加率が高く、全体としての労働参加率を押し上げている、とサンフランシスコ連銀は判断したのだ。
ワーク・ライフ・バランスの推進は、連銀の任務ではないが、同連銀のデーリー議長は長期的な経済成長や雇用創出には労働市場への参加を促進するような家族政策が必要だと述べている。
米国やカナダで家族休暇というと出産休暇や育児休暇が中心だろうが、日本では介護休暇も大きな問題だ。
そして日本ではまず有給休暇を取りやすい環境を作ることが課題だろう。これは法律や行政指導だけで変わる問題ではない。
経営者と従業員が本気になって、より良い生き方を目指すには当然の権利である有給休暇を完全に取得するのが当たり前という価値観を共有する必要があるのだ。
そしてそのような会社が支持されるように社会の価値観を変えていくことが重要だろう。