昨日(3月5日)発表された米国の2月の雇用データは事前予想を上回る好調なものだった。一番注目される非農業部門雇用者数は事前予想の210千人に対し、9千人のプラス。また1月の雇用者数は49千人から166千人に上方修正された。雇用を大きく牽引したのはレストラン部門だった。
また失業率はエコノミストの予想では1月と同じ6.3%だったが実際には6.2%に下がった。
好調な雇用統計を受けて、最初は国債金利が上昇し、株が売られるという展開だったが、債券金利が落ち着くにつれ株価は値を戻し、ダウは1.85%、S&P500は1.95%上昇で引けた。ダウとS&P500は荒れた週をプラスで締めくくったが、ハイテク銘柄の多いナスダックは週を通じて2.1%の下落で終わった。
これは成長株売りの割安株買いというセクターローテーションの影響を受けたものだ。
ところで雇用データを見ると雇用市場の回復が順調で連銀が予想より早いペースで緩和政策に転換するのではないか?という見方もあるようだが、雇用市場はそんなに良くない、という意見をWSJにJustin Lahartという人が書いていた。
その論拠は失業率が低下しているが、それは職探しをする人が減ったからで、もし労働参加率がパンデミック以前と同じ割合だったとすると先月の失業率は9.1%だったろうとLahart氏は書いている。
またコロナワクチンが普及していってもまだ16歳以下の児童のワクチンは認可されていないから、本当にコロナ危機を収束させるにはまだ時間がかかると彼は述べている。
もしこの見方が正しければ、債券金利はそんなに上昇することはないようにも思えるが、冷静な見方がマーケットのセンチメントを決めるとは限らない。
むしろ暫くはハイテク売りが続くと見ておく方が良さそうだ。
だがその中で売られる銘柄とそれほど売られない銘柄があるだろう。
売られるのは将来の期待から買われ過ぎた銘柄だ。
足が地についてるIT企業の株はそれほど売り込まれることはないだろうと私は考えている。足が地についているという点では、やはりクラウドに強みを持つマイクロソフトなどは比較的堅調に推移するのではないだろうか?
かなり個人的な期待が入っていることもあるのだが。