日銀は昨日(3月19日)金融政策の修正を決めた。デフレに悩む日銀は現在マイナス0.1%の金利をマイナス0.2%まで引き下げることを視野に一層の緩和策を固めた。なおマイナス金利は金融機関の収益悪化を招くので、金融機関に上乗せ金利をつける制度を構築する予定だ。
実際2月の生鮮食料品を除く物価上昇率は前年比0.4%下落した。
アメリカではインフレ懸念が長期金利の上昇を招き、連銀が長期金利の上昇を抑えるため、政策金利の引き上げに動くのではないか?という懸念が出始めているのに比べれば(2023年頃まで政策金利が引き上げられる可能性は低いが)、日米の物価と金融政策の状況の差を際立っている。
その背景にあるのは、企業の賃金政策と価格政策だ。
WSJはIn Japan, they're still worried about deflation,not inflation(日本ではインフレではなくまだデフレに悩まされている)という記事で、ユニクロや無印良品が値下げをしたというニュースを流している。もっとのこの記事の内容に関心を示すアメリカ人読者はほとんどいないだろうが。
同じ日にWSJはEconomy revs up as Americans spend on flight,dining out(アメリカ人はエアチケット、外食にお金を使うので経済エンジンの回転数が上がっている)という記事で、コロナワクチン接種を終えた81歳の女性が家族と会うために国内旅行のチケットを予約し、更には来年2つの海外旅行を予約したというエピソードを紹介していた。
国民性の違い、と言ってしまえばそれまでだが、アフターコロナの反発力は随分違うと思う。アメリカではロックダウンという強硬手段やワクチンの早期普及という力業でコロナに立ち向かった。それだけにコロナを抑え込んだ後、人々のノーマルな生活への復帰意欲は強いと思う。
一方日本では緊急事態宣言だとかその延長だとか宣言解除だとか言っているが、実態にどれほど差があるのか判然としない。解除はするけど不要不急の外出は止めてくれ、などと言っている。そもそもレジャーや楽しみを不要不急とする考え方が日本では強すぎるのだ。アメリカの論調を見るとそのような考え方はない。旅行や外食がもっと人生の重要事項として居場所を与えられていると私は感じる。つまり人は何のために働き、何のために生きているのか?ということを考えると人は楽しむために働き、生きているという自明の理に至る。
日銀が政策金利をさらに下げたところで、物価は簡単には上昇しない。人口減少でパイが縮む消費市場を企業が取り合ってレッドオーシャンの中で価格競争が繰り返されるからだ。
デフレの泥沼を抜け出すには、消費者にお金をドンドン使ってもらうことだ。今お金を使う余裕があるのは、シニア層だからシニア層にお金を使ってもらうことをもっと考えた方が良い。
ワクチンを打ち終わったシニアはドンドン旅に出るべし。元気でいる時間はそう長くはない。今を楽しむべしと官民あげていうべきなのだろう。本当は。