数日前日経新聞に「10年後の日本の財政破綻確率は50%」という研究発表がでていた。耳目を集めるためのセンセーショナルな話ではなく、国の債務がGDPの4倍(現在は2倍弱)を超えると財政破綻になるという前提の元で色々なシナリオをシミュレーションして上記の破綻確率を計算したものだ。
この計算自体はテクニカルなもので、債務がGDPの4倍を超えると財政破綻になるという前提で計算する限り正しいものだと思う。なぜ債務がGDPの4倍を超えると財政破綻なのか?というと現在金融資産はGDPの3.4倍あり日本国内の金融資産で国の債務が賄われているから財政破綻の懸念は低いが将来さらに債務が拡大し、国内金融資産でファイナンスできなくなると破綻すると考える訳だ。そしてその閾値をGDPの4倍として計算した訳である。

ところでデフォルトリスクをヘッジするためのクレジット・デフォルト・スワップという仕組みがあるが、こちらの保険料は日本の国債が特別高くなっている訳ではない。一時スペインやイタリアの保険料は年5,6%(元本に対して)まで上昇していたと記憶するが日本の国債の現在の保険料は精々その1/10以下である。

つまりある経済学者が計算した債務破綻確率と金融のプロの間の日本の財政破綻リスクのとらえ方にはかなり大きな違いがある。
その違いはどこから来るのだろうかと考えてみた。
そしてこの矛盾する二つの見方をつなぐ輪は「国は財政破綻の臨界点に近づいた時財産税を課して一気に債務を打ち消そうとしているのだろう」という仮説に至った。
財産税というのは一定額以上の資産を持っている人に税金を課す方法だ。
乱暴な話だが前例はある。それは1946年に創設された財産税で最高税率は90%に達していた。もっとも課税されたのは10万円以上(当時)財産のあった人、現在の貨幣価値では5千万円以上財産のあった人だ。
コロナ対策で財政悪化の速度は高まっている。消費税を20%に引き上げる程度ではおさまりが付きそうにないと思う。
財政破綻を避ける方法はハイパーインフレによる超円安政策か財産税により超富裕層の資産を使って財政赤字を一気に削減するしかなさそうだ。
ただハイパーインフレは国民全体に与える影響が甚大なので選択肢として後者が残ると判断した次第。