金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ジェロントロジ―(老年学)の箴言集㉕生きることに飽きる

2023年12月02日 | ライフプランニングファイル
 このシリーズ(ジェロントロジ―の箴言集)では、「年をとっても前向きに生きる」励みになる箴言をピックアップしてきましたが、今日は一見その反対の言葉を紹介しましょう。
 文藝春秋の今月号(12月号)の内舘牧子さんのエッセー「ムーンサルトは寝て待て」に出ていた話です。内舘さんは芥川賞作家の若竹千佐子さんとある雑誌で「老いをどう生きたいか」といったテーマで対談しました。その時若竹さんが「若い頃と違うといえば、年を重ねるといろいろなものに飽きるんですよ。私、生きることに飽きるときがあるもの」と発言します。
 その発言を内舘さんは「強烈な一言だった」と書いています。
 内舘さんは「どうしてもメディアは『老い』をポジティブにとらえ、ポジティブに生きることを推奨する方向に行く。」と述べ、「そんな中で、私は以前からメディアも有名無名の人たちも、高齢者に「挑戦」を煽ることが非常に気になっていた」と続けます。
 「ジェロントロジ―の箴言集」も、老いてもポジティブに生きることを推奨していますので、もし内牧さんが読んでいたら気になっていたでしょうね。
 実際ジェロントロジ―を語る人は、元気である分野で成功している人が多いと思います。体を動かして健康を維持している人が運動の効用を語り、モノを書いたり人前で話す機会の多い人が、ボケ防止にはアウトプットが必要だと語っています。
 これに対し内牧さんは「だいたい、『挑戦』を口にする人々は、まだ老いの年齢にないことが多い。あるいは、まだ社会から必要とされている高齢者たちだ。であればこそ、彼らの励ましは、リップサービスだと私は考えざるを得なかった。」と述べています。
 内舘さんにしろ、若竹さんにしろ、「社会から必要とされている高齢者」です。だがその人たちでも「何かもう疲れたなァ」と感じることがあると内舘さんは書いています。
 そして内舘さんは「高齢者が最もポジティブに、最も楽しく生きられるには、同年代で集まることだと思っている。」と結んでいます。
 たまたまですが、昨日昔の職場(それも20年ほど前一緒に名古屋で仕事をしていた仲間)と麻雀をしました。このメンバーとは年に2回盆暮れの季節に麻雀をやっています。一番年上の仲間は80才を越えていますが千葉のユーカリが丘からこの「ハレの日」にやってきます。彼にとってこの日は自分を活性化させる大切な日だと思います。「社会的参加」とか「挑戦」など難しいことはいわずに高齢者同士で楽しく集まる場を確保することもジェロントロジ―の実践方法だと思いました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする