金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

アメリカのシリア攻撃、実損は少なそう。でもその後は?

2018年04月15日 | ニュース

昨日(4月14日)米英仏がシリアの化学兵器基地をミサイル等で攻撃したというニュースは紙面を賑わした。

だがトランプ大統領がマティス国防長官の進言を入れて、ターゲットを絞った攻撃を命令したので、シリア側の損害は限定的なようだ。

大統領はツイッターで攻撃をほのめかしていたので、シリア側は重要な武器を事前に攻撃対象の基地から移動したという噂もある。

シリア攻撃は極端にいうとショーのようなものだったのかもしれない。

トランプ大統領の関税政策については、"speak harshly but carry a small stick"と揶揄する人もいる。声高に叫ぶけれど実行は乏しいという意味だ。

シリア制裁についても同じと言えるかもしれない。

これはトランプ大統領が中間選挙を前に、強い大統領という姿勢をアメリカ国民にアピールしているともいえる。

ただし常に「大声は出すけれど、実際の制裁は甘い」という噂が広がると底が割れてしまう。

たまには本気を示さないと声だけオジサンになってしまう。

彼がどこで吠えた通りの本気度を示すのか?

恐らく北朝鮮を始めこれから交渉のテーブルに着く国の首脳陣は、トランプ大統領の心の中に分け入ろうと知恵を捻っているに違いない。

日本も安倍首相がトランプ大統領の仲良しということで胡坐をかいていてはいけない。油断大敵である。彼の本音はアメリカファーストなのだから。

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トランプの関税政策、見た目ほど敵対的ではない~シティリサーチ

2018年04月13日 | 投資

CNBCはシティリサーチが「トランプ大統領が次々と発表する関税政策は見た目ほど敵対的ではない。投資家は米中間の個々の関税報復措置に過剰反応するべきではない」と述べたと報じている。

Trump's trade policy is really "speak harshly but carry a small stick"「トランプの貿易政策は話は厳しいが小さな杖を持っている」というのがキーワードだ。小さな杖?と疑問に思われる方がいるかもしれないが、これは次の諺をもじったものである。

Speak softly  and carry a big stick「やさしく話し、大きな杖を持っていけ」つまり「力を誇示してはいけないが、力を使う用意をしていけ」という意味だ。シティリサーチはトランプの貿易政策はその真逆で「厳しくがなりたてるが、実際に腕力をつかう準備はない」ということだと言っている。

中国側の報復措置も例えば、実際には米国がアジアに輸出していないサイズの航空機に関税を課すなどと実害の少ないものが多いようだ。

うがった見方をすると双方相手の的を外して撃ち合いをしているようなところがある。

今朝の日経新聞にはトランプ大統領が米国通商代表部にTPP復帰に向けた条件を探すよう指示したという記事がでていた。

トランプ大統領は交渉を自国に有利に導くため、まず高め玉を投げて相手をビビらせる戦術をとることが多い。

その高め玉に投資家がビビることはない、とシティリサーチは言っていると私は解釈した。

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終身雇用にさようなら~WSJの記事から

2018年04月12日 | ライフプランニングファイル

最近の日本の新聞では森友学園・加計学園問題が紙面のトップを飾ることが多いが、WSJなど英紙で取り上げられることはほとんどない。そもそも日本に関する記事が少ない。日本が世界の色々な市場に与えるインパクトが減っているのでニュースバリューが下がっているのだ。

そんな中日本に関する記事がでていると読みたくなるし、紹介してみたくなる。余談だが私は英語の読解力を着ける一番良い方法は、「WSJで日本に関する記事を読む」ことだと考えている。日本に関する記事は事柄のバックグラウンドあるいはフレームワークが分かっているので、少々分からない単語に遭遇しても読み進むことができるからだ。またWSJの英語はUSA Todayと並んで平明なので読みやすいからだ。

さて本題に戻ると記事のタイトルはJapanese workers call it quits on a firm tradition: The job for life「日本の労働者は企業の伝統・終身雇用を止める」というものだ。平均寿命が延び、働く期間も伸びている現在、私は既に終身雇用という言葉は死語になりつつあると思っているが、ここでは記事に従うことにする。

記事の順序を入れ替えてまず統計的な話から紹介しよう。

総務相の統計によると、昨年(2017年)転職した人の数は311万人で7年連続で増加を続けている。2月時点では、求職者100名に対し求人者数は158人という売り手市場でこれは過去44年間で最高レベルだ。

リクルートキャリアによると、転職者の29.7%はサラリーが転職前より10%以上上昇した。

転職者の数は増加しているが、1年間に仕事を変える人の割合はまだ5%以下に過ぎない。2016年時点で日本では平均すると一つの会社に約12年勤務している。英国の平均勤務年数は8.6年で、米国では平均勤続年数は報告されていないが、雇用期間の中央値は4.2年である。

日本の労働者が一つの会社で働く期間は米英に較べるとまだ長いが、12年なので数字上は終身雇用といえない状態だ。

だが大企業を中心とした「新卒大量採用、集合研修などの社員教育システム、生え抜き役員・社長を選ぶシステム」などを見ると終身雇用制度は一部で根強く残っているともいえる。

転職が盛んなのは、IT企業や知的財産権などを扱う企業が求める「特別な人材」を必要とする企業だ。

私の個人的な見解を加えると、これから一般企業でも「人材不足をシステム化で補う」ような人材は重宝されると考えている。仮にシステム化(ロボット化)などで、4人でやっていた仕事1人でできるようなシステム化を進めたならば、開発者に1人分のサラリーをインセンティブとして与えても良いような気がするが、会社の規模が大きいとそのような人事政策をとることはできない。

なぜなら伝統的な会社には職能資格給があり、多くの場合給料は「給与テーブル」の範囲で決められるからだ。従って「才能ある人材」を一本釣りで中途採用することが難しいのである。

一方新興企業の場合は個別年俸制度など人材にフォーカスした給与システムの導入が可能だから、才能ある人材の一本釣りがやり易い訳だ。

新卒大量採用・社内教育システムというのは、良く言えば「会社のフレームワークを理解し、上意下達型の人材を効率よく作る」システムであり、悪く言うと「他流試合を通じて、創造的な仕事ができる人材を排除するシステム」であった。

労働力の減少とIT技術・人工知能技術の発展により企業は生産性の向上を求められている。「さよなら」するべきは「給与テーブル」という考え方なのだろう。

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イオンさん、Eコマースに力を入れるならメンバーIDの改良から

2018年04月11日 | 投資

大手スーパーの中でイオンを使うことが多い。近くにイオンの大型ショッピングモールがあるからだ。イオンの株主になると購入額の3%のキャッシュバックがあるので、イオンの株も保有しているからイオンの動向には関心がある。

そのイオンが米国の電子商取引関連のスタートアップ・ボックスドに数十億円の出資を決めた。関係者はディールの詳細を明らかにしていないが、5月中旬にはクロージングを迎えるとWSJは報じていた。

記事によると、ボックスドはイオンのロジスティクス改善やオンラインショッパーに「次の買い物を推薦する」機能を強化するために、チームを派遣するということだ。

イオンのネットスーパーではワインなどを購入することがあるので、オンラインショッピング機能が強化されることは歓迎だ。

そしてショッピング機能を改善する一歩として、メンバーIDの決め方を変えて欲しいと思う。

アマゾンなどでは自分の電子メールアドレスをIDとしているが、イオンではお仕着せのアルファベット・数字の組み合わせがIDとして与えられる。簡単に覚えられえない(覚えるほど頻繁に買い物をしていない)ので、中々イオンのネットスーパーを使わないのである。

サービスを提供する側としては、お仕着せのIDを与える方が便利かもしれないが、ユーザとしては自分の電子メールアドレスの方が使い勝手が良いに決まっている。

イオンが本気でオンラインショッピングを拡大しようと考えるなら、ユーザ目線で使い易さを追求することから始める必要がある。

 

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習近平主席の開放政策の本気度は?

2018年04月11日 | 投資

昨日(4月10日)の米国株は大幅に上昇した。最大の理由は中国の習近平主席がボアオ経済フォーラムでの演説で「輸入拡大・保険その他の金融セクターへの外資アクセスの加速・知的財産権保護の拡大など」に言及し、市場参加者が貿易摩擦の懸念が後退すると判断したことによる。

トランプ大統領はツイッターでVery thankful for President Xi of Chain's kind word・・・と習主席の発言を持ち上げた。

だが、専門家の意見は「習主席の発言は中国の現在の政策の大きな変化を示唆するものではなく、現在の政策を復唱しただけのものだ。それは中国が自国に適していると考えるペースと方法で緩やかに市場開放を進めるというものだ」という論調のものが多いようだ。

専門家の意見が正しいとすれば、暫くすると株は再び貿易摩擦の懸念から売り込まれることになりそうだ。

では市場参加者は単なる楽観から習主席の発言を買い材料としたのだろうか?

この点について私はバリュエーションから見て、株を買っても良いと考える参加者が増えてきたので、習主席の発言を買い材料とした面があると勝手な解釈をしている。

逆に株価が割高過ぎる場合は、些細な材料から売り込まれることがある。

投資家というものは、相場水準に対する直観的な判断があり、その判断の材料を後で探すという面があるのではないだろうか?

これまた直観的な意見に過ぎないが。

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