金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

紙の本と電子本、どう使い分けますか(3)~公開サイトの利用

2020年11月13日 | ライフプランニングファイル
 前回のブログで電子本のメリットを紹介したので、次は紙の本が電子本より優っている点を紹介する番なのですが、その前に「無料で電子本を読むことができる公開サイト」について簡単に述べてみましょう。
 その理由はこのブログのきっかけになったある議員さんが「小中学生全員にタブレットが貸与されるのでうまく活用したい」と言っていたからです。タブレットを使って無料で電子本を読むには、「電子本を貸出してくれる図書館を探す」「著作権の消滅した本などを公開しているサイトを訪ねる」といった方法があります。
 世界的に見ると電子本を貸し出す電子図書館の普及はかなり進んでいますが、日本では数%の図書館が電子本の貸出を行っているに過ぎません。
 少し古いデータですが、2018年時点で電子図書館サービスを提供している図書館は80館というデータがありました。日本全体の図書館数は1,300館程度ですから6%程度になります。
 私が住んでいる西東京市の図書館は電子図書館サービスは行っていませんが、「自宅で読める電子書籍等のご紹介」というコーナーを設けて、「青空文庫」や国会図書館デジタルコレクションを紹介しています。青空文庫というのは、著作権が消滅した本などをインターネット上で公開している電子図書館です。
 また世界的に見るとInternet Archiveというサイトが無料で本、音楽、映画などの貸出を行っています。私は試しに登録し本の貸出を行ってみました。
 登録は非常に簡単で著者名などで検索も簡単ですが、提供されている本の状態(PDFの状態)は必ずしも読み易いものではありません。
なおこのサイトの検索バーは日本語でも検索が可能で、試しに藤沢周平と入れてみると「竹光始末」などの本が出てきました。
 小中学生が貸与されたタブレットを使って電子本にアクセスするということになれば、このような無料で質の高い本を読むことができるサイトの使い方を提案するところから始める必要があるでしょうね。また出版業界との調整は必要ですが、日本の電子図書館サービスをもっと充実させる必要がありますね。
 タブレットを配っても、質の高いコンテンツにアクセスできなければ、まさに「仏作って魂入れず」ですから。

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紙の本と電子本、どう使い分けますか?(2)~電子本のメリット

2020年11月13日 | 本と雑誌
 電子本の長所を具体的に見ていきましょう。前提として「ここでいう電子本は断りがない限りアマゾンのkindle本を指す」「月額980円で読み放題のkindle unlimitedを使い、日本語・英語の本を読む」「本を読むデバイスはスマートフォン、kindle whiteを適宜使い分けている」ということで話を進めます。これは私が実際に行っている電子本読書術です。そして以下が私が感じている電子本のメリットです。
読みたいと思った時に本を手に入れることができる
 電子化されている本であれば、読みたいと思った時に購入してすぐ読み始めることができます。これは仕事で資料集めを急ぐ時など大変便利なことです。ただし読みたい本がすべて電子化されている訳ではありません。また読みたい本が読み放題(kindle unlimited)に入っていると助かるのですが、残念ながら本当に読みたい本が読み放題に入っていることはあまりありません。なお和書に較べて洋書はkindle unlimited に入っている冊数が120万冊と10倍以上ですので、英語の本を摘まみ読みすることはあります。
沢山の本を旅先にも持っていくことができる
 新型コロナウイルスの感染が拡大する前、私は年1回程度ネパールにトレッキング旅行をしていました。その時持って行ったのが、電子本読書専用のkindle whiteです。日頃はスマートフォンで電子本を読むことが多いのですが、旅先で使うにはkindle whiteが最高です。電池の持ち時間が長く数週間充電なしに利用可能です。このkinndle whiteに読みたい本を何冊かダウンロードしてトレッキングに出るというのは、ヨーロッパ人の間で流行っている読書法で私もその流儀に習うことにしました。
ハイライトやブックマークをつけやすい
仕事に関連して本を読む場合、後日引用することがあるのでハイライトやブックマークはよく使います。慣れてくると電子本のハイライトやブックマークの方が使い易いと思うことがあります。なお電子辞書機能も英語の本を読む時は特に便利です。
コストが安い
紙の本に較べて電子本の方が1割程度安いことが多いと思います。また時間つぶしに読む本をkindle unlimitedで賄うとした場合、毎月1冊分の料金で数冊の本を読むことができるので読書費用を安く抑えることができます。電子本専用端末は1万円~3万円位します。日常生活の中で電子本を読む人はスマートフォンで十分楽しむことができますので、kindle whiteは必須ではないでしょう。
片手で本を読むことができる
 混んでいる電車の中などでスマートフォンを片手で持って本を読むことができます。狭いスペースの中で本を読むことができるも電子本のメリットでしょうね。
以上がざっと思いつく電子本のメリットです。
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紙の本と電子本、どう使い分けますか?(1)~まずは市場の概観から

2020年11月13日 | 本と雑誌
 昨日(11月12日)中部地方のある市で市会議員をしている友人から「市立図書館と学校の図書館の連携を話題にしようと思っています。紙の本と電子本の使い分けについて、貴兄はどんなご意見をお持ちでしょうか?」という問い合わせが来ました。
 面白いテーマなので早速考えをまとめようと思いました。実は私はかなり早い時期から電子本(アマゾンのキンドル本)を読んでいましたし、自分でも何冊かキンドル本を出版しています。またKindleのUnlimitedを利用し無料本を乱読していますので、積極的な電子本ユーザーであることは間違いありません。しかし一方で紙の本も読みます。最近読み始めた「明治維新の意味」(北岡伸一 新潮選書)はキンドル版もあったのですが、あえて紙の本を買って読みだしています。理由は「紙の本の方が読んだ気がする」「北岡氏の鋭い切り口がダイレクトに伝わってくる」といったところでしょうか?
 このあたりは別のエントリーで詳しく述べるとして、今回は電子本のシェアや先行きを少し考えてみます。
 まずは日本の状況です。公益社団法人全国出版協会のホームページによりますと、2019年の出版市場は1.5兆円で、電子本のシェアは19.9%。前年の電子本のシェアは16.1%でしたから、23.9%増と電子本は急増しています。
 なお電子本の内84.4%はコミックで、書籍は11.4%、雑誌は4.2%となっています。
 日本の電子本を考える時、粗々の数字としては、電子本のシェアは2割でその内コミックが85%、普通の書籍は1割強という数字を押さえておきましょう。

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米国のエネルギー政策は大転換するだろう

2020年11月11日 | 投資
 どこの国民にも美徳というものがある。
 私がしばらくアメリカで暮らした経験に即して言うと、多くのアメリカ人に共通する美徳は「ものごとに真剣に取り組みやり通す」ことだと感じている。
 私がアメリカで暮らしていた四半世紀ほど前、アメリカ人の健康志向が高まり、近所でランニングする人やロードレーサーなどスポーツバイクを走らす人が増えていた。
 スポーツバイクに乗る人は、車に自転車を積んで30分以上離れたところにある自転車専用レーンのようなところに行き、自転車専用ウエアに着替え、ヘルメットをかぶり真剣に走るのである。
 ランニングをする人はいつもきちんとしたランニングウエアに着替え、雨が降っても風が吹いても決めた時間に走っていたことを思い出す。
 このことを思い出し、私はアメリカ人の一つの美徳は「ものごとに真剣に取り組む」ことだと改めて感じた次第だ。今回の大統領選挙で史上最高の得票率を記録したのも、真剣に取り組む美徳の現れではないか?とも私は考えている。
 もっとも法廷闘争まで持ち出して、大統領の椅子にしがみつこうとしているトランプの場合は、大統領を辞めると自滅に繋がるという噂もあるので「真剣に取り組みやり通す」例に数えて良いのかどうか疑問ではあるが・・・

 一方我々がアメリカ人の真剣さを考えるべき問題は、バイデン政権のクリーンエネルギー政策だろう。気候変動対策としてのクリーンエネルギー政策はバイデン政権の大きな柱だ。クリーンエネルギー政策がどの程度実現できるかは、上院の民主党・共和党勢力分布に関わるところも大きいので、私は今断言できる材料を持ち合わせていない。しかし状況予測に詳しい投資家の動きを見るとグリーンエネルギーセクターはバイデン氏勝利見通しと歩調を合わせて値上がりを続けてきた。
 我々はクリーンエネルギー政策を推進しようとするアメリカ人の本気度を正面から見据えて、日本企業の対応などを見極める必要がある。
 良かろうが悪かろうが、一度始めると真剣にやり通そうとするのがアメリカ人だ。もちろん「良かろうが悪かろうが」というのはレトリックで、クリーンエネルギー政策は是非遂行しなければいけない重要な政策だと私は考えている。
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セクターローテーションの時期は「ロボット運用」のスタイルドリフトも役に立つ?

2020年11月11日 | 投資
 全体としては株高が続いている大統領選挙後のアメリカですが、コロナウイルスワクチンの開発等のニュースを受けて、「ナスダック銘柄の売り」「ダウ銘柄の買い」が鮮明になってきました。もっと具体的にいうとステイアットホーム銘柄と呼ばれるアマゾンなどFANG株を売って、薬品株や景気敏感株を買うと動きです。その結果ハイテク銘柄が多いナスダックの株価は下がり、景気敏感株~ある意味では伝統的な会社の株~が多いダウが上昇しています。少し前までコロナを追い風にしてナスダックのパフォーマンスがダウを上回っていたのですが、ここに来て過去1年間のパフォーマンスを見るとダウとナスダックは拮抗しています。
株式市場でこのようなローテーションが起きていることは情報として知ってはいるのですが、対応策となるとつい後手に回ります。
 私の場合自分で個別株を買う積極運用はハイテク銘柄にウエイトを置いたグロースになっています。このハイテク銘柄を処分して景気敏感銘柄や割安株にシフトすることも考えない訳ではないのですが、次の点から二の足を踏んでいます。一つはハイテク株は一時的に売られても長期的には成長余地が高いと判断することです。また現物株の売買には取引コストがかかるので、できれば売買頻度は圧縮したいと考えています。そんな時にポートフォリオ全体としては助けになったのが、ロボット運用しているTHEOのスタイルドリフトです。
 スタイルドリフトというのは、投資環境の変化に合わせて運用方針を変えることで、機関投資家からは嫌われていると思います。私はロボット運用のTHEOに実験を兼ねて多少の資金の運用を委託しています。THEOは運用方針を選択できるので、方針を一番積極的なグロース100%にしています。
 ところが偶々保有株のセクターを見ると、「米国の大型の割安株」が20%強入っていて「ナスダック大型株(除く金融)」の16%を上回っていました。
 グロース100%なら割安株(バリュー)など入れずにハイテクなど成長銘柄でグイグイ押していくと思っていたのですが、違うのですね。
 これを投資環境の変化に合わせた柔軟な対応と呼ぶのか、あるいはスタイルドリフトとして批判するべきなのかは迷います(THEOの運用方針書を詳しく読むとこの辺りの説明があるのかもしれません)。
 いずれにせよ我々個人の資産運用では「運用哲学」や「運用スタイル」より「結果が総て」ですから、環境変化に合わせた投資方針の変更も結果次第でOKなのかもしれませんね。この先ロボットがどうのように動くか楽しみでもあります。
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