この漢字で「キランソウ」と読ませるのは無理がありますよねえ。
「キンソウショウソウ」と読めば、漢方の生薬の名前となります。もちろん、この草から作るもの。この字をそのまま植物名に流用したのでしょうか。
とすると、「キランソウ」とは、本当はどういう意味で、どういう字があてはまるのか。
「金襴草」と書くという説もあるようです。
「金襴緞子」の「金襴」ですから、金糸を織り込んだ派手な織物に例えたように思えます。しかし、草の様子を見ると、どうもピンと来ません。地面にしがみつくように茎を伸ばし、しかも全体が毛むくじゃら。花の紫色と葉の緑色の取り合わせはシックではありますが、派手さは皆無です。春はやくから咲いているので可憐ではありますが。
「貴藍草」だったりはしないでしょうか。「医者倒し」とか「医者いらず」とか呼ばれる薬草でもありますから、珍重されたかも。
「切らん草」はどうか。葉や茎を揉んで、傷口に当てると膿を出すという効能があります。切らずに治せるという意味だったりはしないでしょうか。
道端や土手でよく見かける春の野草です。シソ科の多年草。「地獄の釜の蓋」という別名の方が強烈で、忘れがたいですね。