金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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食品会社、食材高をどう乗り切るか?

2008年04月11日 | 社会・経済

食品会社やレストランは食材価格の高騰、電気代や燃料費の高騰という供給サイドの問題と失業率の増加、インフレの進行、住宅価格の下落による購買力の減少という需要サイドの難問に取り囲まれている。もっともこれは日本の話ではなく、米国の話だ。しかし今米国で起こっていることは、日本でも既に一部起きているし更に今後顕著になってくるだろう。エコノミスト誌はこの逆風の中で大手食品会社がどのように対応しているかを紹介している。

食品関係の業種は不況抵抗力が強いと考えられている。好況であれ不況であれ人々はとにかく食べるからだ。また欧米では過去30年間で食費の家計に占める割合が3割から1割以下に低下しているので、過去には消費者は食品価格の上昇を気にしなかった。しかし食品業界のアナリストの中には今回の環境変化は前例のない程のインパクトを与えると見ているものがいる。

企業の中で勝ち組と負け組もはっきりしてきた。低価格指向のウオールマートの株価は昨年秋に比べて2割上昇しているが、有機野菜等高級品指向のホール・フード・マーケット社の株価は3割方下落している。景気の低迷は規模の利益を持たないより小さな企業や食材の加工過程で付加価値を加えられない企業にダメージを与えている。

世界的な食品会社のネッスルは商品先物を利用した価格ヘッジや農家との直接取引により原材料価格の高騰を吸収するように努めている。これにより同社の昨年の売り上げは業界平均の1.8%を大きく上回り7%となった。それでも同社は付加価値率の低いトマト・ピューレーの工場などを売却してより付加価値の高い分野にフォーカスしようとしている。

全米レストラン協会によると業界は成長を続けているが、成長率(4.4%)はダウンしている。外食の頻度は減っていないが一回の支出額は減っている。レストランは生産性の改善により、食材の価格上昇を吸収しようとしている。安いレストランは人気だ。マクドナルドは「1ドルメニュー」を提供しているし、競争相手のウェンディやバーガーキングもダブルチーズバーガーを1ドルで販売している。またスターバックスも1ドルコーヒーの販売を考えている。

以上がアメリカの状況だが、日本の状況はどうだろうか?マクドナルドの状況は知らないが、日本橋のドトールコーヒーは最近コーヒーを20円値上げして200円にした。東京ではコーヒー豆の値上がり分を消費者に添加できるということなのだろう。

しかし食品業界全体では日本も大変苦しい状況にあるだろう。食品スーパーで注目しておくべきことは、セブン&アイ、イオンの二強が不採算店舗の閉鎖を含め規模の利益追求から採算重視に転換していることだ。小麦、大豆など食材の高値が続くと商品スーパーも本格的な体力勝負になる時代が来そうだ。

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