金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

入院の経済学

2008年04月13日 | 健康・病気

先週この前まで入院していた病院に行き退院後のチェックを行って貰った。血液検査、CTともOKのお墨付きを頂きやれやれである。ついでに病院の窓口で「医療保険」の請求に関する入院証明書の発行を依頼した。体の方は元に戻ったが、保険の請求など金回りの話はこれからである。これを機会に入院を巡る経済面を少し考えてみた。

まず今回の治療・入院費をざっと見てみよう。3月分支払総額約55万円(内保険診療で患者負担分21万円)、4月分支払総額9万円(内保険診療で患者負担分9万円)で、総支払額は約64万円だ。内約38万円は室料差額つまり個室代だ。もし個室を使わなかったとすると肝膿瘍の治療に要した費用は26万円ということになる。肝膿瘍という病気は私が思うには、ガンなどに比べるとローテクの治療方法を使うので医療費は余りかからないだろう。難しい病気でなければ1ヶ月程の入院費用は個室料金を払わないと30万円以下だということは頭に入れておいて良いだろう。

というのは「病気になると多額の医療費がかかる」という一種の脅し文句が保険会社のパンフレットや宣伝で見かけるからである。しかし保険会社が盛んに医療保険を宣伝するということは「医療保険が保険会社にとって儲かる保険」であるということを意味しているし、消費者にとっては儲からない保険だということを意味している。消費者にとっては「医療保険に入る代わりに医療費を貯金しておく」とか「社会保障制度を最大限に活用する」という方法があることも考える必要があるだろう。

後者の代表的な例は「高額医療費制度」という制度だ。これは「1ヵ月の医療費(保険対象の金額)の自己負担額が高額になった場合、一定の自己負担限度額を超えた分が払い戻される」という制度だ。自己負担限度額は所得金額によって異なる。私の場合「標準報酬月額が53万円を超えている」ので自己負担限度額は「150,000円+(医療費-500,000円)×1%」である。具体的には3月分の医療費(保険診療分)21万円が対象になり、自己負担限度額は152,000円で58,000円が請求により戻ってくるということになる。

なお組合健保の場合は健康保険組合が組合員のために「高額医療費」の請求を行ってくれるが、政府管掌保険の場合は自分で社会保険庁に請求する必要がある。申請書類は社会保険庁のホームページからダウンロードできるが、記入と提出には少し手間がかかりそうだ。

次に「確定申告による医療費控除」がある。これは「実際に支払った医療費から保険契約などで支給される給付金」を控除し、更に10万円を差し引いた金額を「所得控除」できるという制度だ。

ところで今日(4月13日)の日経新聞朝刊に「民間医療保険の払い過ぎに注意」という記事が出ていた。その記事によると「医療費として2百万程度の貯蓄があれば良い」ということだ。日経新聞はあからさまに「医療保険は無駄」とは言っていないが、ずばっというとそういうことになりそうだ。私は社会人になったころから、会社の付き合いもあって某外資系保険会社の医療保険に入っている。これはガン保険が中心だが、今回のような一般の病気による入院でも一定の給付金がでる。保険料は月額1万3千円程度(夫婦分)。25年間程加入しているので元本部分で4百万円程度となる。これは奇しくも日経新聞が述べている2百万円の医療費としての貯蓄に相当する額である。今回の入院でどの程度の保険金額が出るかはまだ分からない(入院費は一日5,000円と決まっているが、手術給付が不明)が、20万円から25万円程度だろうと考えている。25年分の掛け金の1割程度の給付があるという訳だ。

若い頃ガン保険に加入した理由は当時ガンの治療費が相当高額で入院期間も長いと判断したことによる。ところが内視鏡手術等医療技術の進歩で入院期間は短縮する傾向にある。また保険診療については前述した「高額医療制度」もあるので、患者が負担する医療費の予想については再考の余地がありそうだ。

ところで今回1ヵ月入院して悪いことばっかりだったかというと決してそうではなく、良いこともあった。一番良かったことは入院中カロリーを抑えた健康な食事をしたので体重が減りほぼ理想のBMI指数に近付いたことだ。当然のことながら入院中お酒を飲まなかったことがカロリー減に貢献したのだ。もしこのまま理想に近い体重を維持できるならば、多少の入院費など安いものだ・・・・ということになるのだがどうだろうか?

健康な体を維持して長期療養が必要となるような病気を避けるために、日々の生活を改善して健康維持のために必要なコストをかけていきたい・・・と思った次第である。

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