今日(12月1日)は一日仙台に出張していたので、マーケットは見ていなかった。帰宅後ネットで新聞を読むと日銀が臨時金融政策会合を開き、10兆円規模の資金を3ヶ月間金利0.1%で金融市場に供給することを決めた。ファイナンシャルタイムズによると臨時金融政策会合開催のニュースに為替市場で日銀がもっと大胆な金融緩策を取るのではないかと期待した向きは円のショートポジションを取った。このため一時円は対米ドルで87円台の半ばまで下落したが、日銀の臨時金融政策会合の結果に失望して円は87円前半へ上昇した。
市場は日銀のデフレに対する対応を不十分と判断したようだ。
今日本政府と日銀にデフレ克服のためもっと積極的な円安政策を取れと主張しているのは、一見不思議なことに円安で短期的なマイナスを被る可能性のあるアングロサクソン勢の中で最も権威あるエコノミスト誌なのだ。
何故エコノミスト誌が日本がデフレから脱却できないことを恐れているかというとデフレが彼等に伝播する危険性があるからだ。前回日本がデフレに陥った時は米欧の経済に活気があったので、日本は輸出主導でデフレを脱却することができた。しかし今回は米欧の景気回復の歩調が弱いので日本の政府・日銀が積極的なデフレ対策を取らないとデフレが彼等に伝播する恐れががある。
デフレの負担は債務者に重い。デフレで企業の場合は売上、個人の場合は所得が減っても、借りている借金の毎月返済額は変わらない。ということは売上や所得に占める債務弁済比率が上昇し、投資余力や消費余力が減少するということだ。これは実質的に金利が上昇したことと同じである。このことは国のレベルでも同じだ。デフレの進行は最終的に国民の負担を重くする。デフレの伝播を米英が恐れるのは彼等の実質的な債務弁済負担が大きくなるからだ。
このような背景を踏まえてエコノミスト誌は「各国が協調して円高を阻止するべし。短期的には円安は貿易相手国の不利益になるが、日本が円高でデフレで苦しみそのデフレが世界に伝播するよりは良い」と高い見地から政策提言を行っている。日銀には優秀なエコノミストがいるだろうし、政府にも多少は経済が分かる人間がいるだろう。なれば私は早期に米国を下回る短期金利を実現させるべきだと考えている。今は超金融緩和策の弊害を恐れるよりも、デフレの害を避けるべき時期だろう。
まず日銀はゼロ金利政策をとるべきである。