金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

米環境庁、温暖化ガス削減を宣言

2009年12月08日 | 環境保全

コペンハーゲンの国連気候変動枠組み条約締結会議(COP15)に出席するオバマ大統領に強力な援軍が現れた。12月7日米国環境庁のLisa Jackson長官は「地球温暖化ガスは国民の健康と環境を脅かす」と発表した。

環境庁の発表は2007年の最高裁の決定(地球温暖化ガスはクリーン・エア法で定める大気汚染に該当するという決定)に呼応するものだ。最高裁の決定そのものは排気ガス削減を求めるものではなく、むしろ環境庁が地球温暖化ガス基準を策定することを認めるものだった。

環境庁は二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、ハイドロフロオカーボンなど6つのガスが人間の健康と環境に危害を与えると宣言した。環境庁は来年早々に自動車の新しい排ガス規制を導入するとともに石炭や化学プラント、石油精製所など地上の動かない温暖化ガス源にも規制を導入することが予想されている。

オバマ政権は「地球温暖化ガスに関する立法措置が望ましい」と上院に圧力をかけていたが、環境庁の動きは法律化を待たずとも、米政府が温暖化ガス削減に動くことができることを示した。FTによるとアナリストはこの動きによりオバマ大統領はCOP15における力を強めるだろうと判断している。

☆  ☆  ☆

私はここしばらく営業部隊に対して「来年の営業のポイントは環境保護、省エネルギー投資をいかにビジネスに結びつけるか考えることだ」とハッパをかけてきた(半分位の人間は眠ったような目で話を聞いているので誠に情けないが。)しかし米国環境省のこの動きはオバマ大統領に大きな力を与え、コペンハーゲン会議に大きなプラス材料になると考えている。

そうなると地球温暖化防止のために投資が大きなビジネスチャンスになるという話もホラ話でなくなると私は思っているのだが・・・・・

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ソブリン・ウエルス・ファンドは利食い名人?

2009年12月08日 | 金融

リーマンショックの前、資本増強をもくろむ欧米金融機関の中には次のようなフレーズが流行っていたそうだ。「上海、ムンバイ、ドバイ、グッバイ」。アジアと中東のソブリン・ウエルス・ファンド詣の掛け声である。

当時は先進国の金融危機を救済する「白馬の騎士」と考えられていたソブリン・ウエルス・ファンドだが、ニューヨーク・タイムズによると、投資して2年も経たない内に多くのファンドは利食いをしてグッバイを始めている。

最近のニュースによるとクエートが08年1月にシティグループに投資した30億ドルの資金に11億ドルの利益を得て回収した。大きな利益を得て投資回収を行っているのはクエートだけではない。シンガポール、カタール、アブダビの政府が設立したソブリン・ウエルス・ファンドも大きなリターンを得ながら資金を引き上げている。

多くのソブリン・ウエルス・ファンドが高いリターンを上げることができた理由は、金融危機の初期の段階で有利な条件を引出して投資したことによる。その後金融株がアナリスト達の予想を上回るペースで回復したことと、ソブリン・ファンドの出し手国内で政治的な圧力がかかったこともあり、彼らは利食いに回っている。

世界的な債券ファンド・ピムコの共同経営者のエル・エリアン氏は「彼らはパニックに陥って相場の底で売ることがなかった。そして彼らは今売ることができる」と述べている。

「天井買わずの底売らず」は相場の格言とはいえ、ソブリン・ウエルス・ファンドの手腕はしたたかである。アブダビ政府が100%保有するインターナショナル・ペトロリアム・インベストメント・カンパニーは英国のバークレーに20億ポンドの投資を行っているが、投資元本とほぼ同額の利益を実現するため大きな持分を売却するだろうと述べている。

推測を働かすとドバイワールドの金融危機を直接・間接に支援するためアブダビやドバイのソブリン・ウエルス・ファンドは持分の売却を考えているということだろうか?

ニューヨーク・タイムズは「長期保有の観点から投資を行っているのではシティやバンカメの持分を直ぐに売却する予定はないと9月に言っていたクエート投資庁が先週日曜日に持分の一部を売却したと発表したので市場は少し驚いた」と報じている。

売却がクエートの内部事情によるものなのかあるいはシティに対する投資判断によるものなのかは分からない。

ただ多くのソブリン・ウエルス・ファンドが金融株の売りに回りつつあるということは、彼らが目標リターンを達成したということだ。財政赤字拡大に悩む米国政府もTARP資金を回収するべく、資本注入行との交渉を進める見込みだ。これらの事情は金融株の重しになる。一般の投資家が国を相手に勝つことは容易ではない。むしろソブリン・ウエルス・ファンドに提灯をつける方が良いだろう。再び絶好のチャンスが巡ってくるかどうか分からないが。

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