金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

投資家はユーロ売り・ドル買いを模索する

2009年12月15日 | 金融

12月14日のFTは投資家がドルのショートポジションを急速に縮小していると報じている。

growing speculation that the currency's downward trend might have run its course.「ドルは既に下降トレンドを達成したのではないか?という憶測が増えている」

シカゴ・マーカンタイル・エクスチェンジの数字では12月1日のドルのネット・ショート・ポジションは172,367コントラクトだったが、8日には107,284コントラクトに減少している。このショートポジションの減少は2008年6月以降で最大。

ドル売り圧力が減少したのは、12月4日に発表された雇用統計が市場予想よりもかなり良かったことが原因だ。このため市場では連銀が予想よりも早く、超緩和政策を終了させるのではないか?という思惑が広がっている。

ギリシア、ポルトガル、スペインなどユーロ諸国の財政悪化懸念もユーロの売り材料だ。BNPパリバによると、連銀の量的緩和政策は米国経済全体に効果を及ぼしてきたが、欧州中銀の流動性供給策はマネー市場の円滑化に寄与したに過ぎないということで、この差のため米国の経済成長が今後ユーロ圏を上回るので、連銀の方が先に金利引き上げに動くことが可能だということだ。

BNPパリバは新年に入るとユーロはドルに対して一層値を崩し始めると予想している。

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孤独の感染

2009年12月15日 | うんちく・小ネタ

この前高松に出張した時ANAの機内誌に「山頭火、四国へ」という種田山頭火の特集があた。

・・・大地主の家に生まれながら、見えない何かを求めるように、あるいは見えない何かから逃げるよに放浪を繰り返した山頭火が、ある日、(四国へ)最後の旅に出た・・・とある。

山頭火の俳句には、いたたまれないような寂しさが伝わる句が多い。この特集の中にも「まつすぐな道でさびしい」「ほろほろほろびゆくわたしの秋」「だんだん似てくる癖の、父はもうゐない」などは寂しさがジンジンと響く。

だが最晩年には暖かい句友に囲まれたせいか、孤独の中にも不思議と暖かい句を幾つか残している。「こしかたゆくすえ雪あかりする」や「夕焼雲のうつくしければ人の恋しき」などだ。孤独も悲しみも親しい友人と分かち合う時癒されるものなのだろう。

さて最近のエコノミスト誌に「孤独は伝染する病気である」という短い記事がでていた。

孤独が人間を含む生き物に病気にかかるリスクを高め、免疫力を弱め、寿命を縮めることは色々な研究ですでに立証されているが、今回Journal of Personality and Social Psychologyに発表された研究は、ある集団の中で一人の人が孤独感を外に表し始めると、その社会的ネットワークにいるほかの人も孤独感を感じ始めることを明らかにした。

研究によると最初に孤独感を外に表した人と接触した人は、平均の人よりも5割方孤独感を感じ、孤独感を感じた人と接触した人を知った人は平均より25%方孤独感を感じ、その人を知った人は平均より10%方孤独感を感じるということだ。

研究チームは、孤独になった人は友人に対して否定的な交流を行う傾向があるので、孤独感は伝染すると理由付けを行っている。そしてこの「孤独感の感染」は家族より友人の間で顕著であり、男性よりも女性の間で顕著である。その理由について研究チームは「家族間の関係を破棄するよりも友人間の関係を破棄する方がコストが安く、女性の方が男性よりも友人に感情的・社会的サポートを求めているので、友人からそれを受け取ることができない時女性はより孤独になる」と述べている。

☆  ☆  ☆

山頭火の孤独感の大きな部分は彼が11歳の頃自殺した母親の不幸な運命に関わっているようだ。彼の孤独感とエコノミスト誌が紹介した研究対象になった米国の小さな町の住人の孤独感を同じレベルで論じることは無理があるかもしれない。

しかし不幸や寂しさが周りの人に暖かく受け入れられる時孤独感は癒され、受け入れられない時孤独感が増すという点では洋の東西やデリカシーの多寡を超えた共通性がありそうだ。

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