金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

中国政府は「小沢首相」を望まないのだろうか?

2010年09月13日 | 国際・政治

尖閣諸島海域で中国のトロール船と海上保安庁の巡視船が衝突し、日本が漁船の船長を逮捕した件について中国政府はかなり高圧的な出方をしている。

副首相級の戴秉国・国務委員が丹羽大使を未明に呼び出したことについて、日本の外務省幹部からは「未明に大使を呼び出すのは非常に無礼だ」という声があがっている(読売新聞)。

外務省幹部でなくても一国の大使を未明に呼び出すのは大変無礼と感じるところだ。このニュースを聞く日本人は不快感とともに中国の領土的野心や黒を白と言い包める強引さに恐怖を覚えるのではないだろうか?

時に日本では民主党党首選の前夜。常識的に考えると、昨年数百人にのぼる「朝貢団的」使節団を仕立てて中国を訪問した親中国的な小沢前幹事長のマイナスに繋がるような行動は抑制して、小沢氏の勝利をサポートする・・というのが深謀遠慮と思えるのだが、中国政府にはそのような配慮はなさそうだ。

新華社通信の英語版を見ると、菅首相が僅差で優位に立っていると思われると報じている。中国政府は今更小沢前幹事長にfavorを与えても追いつかないと考えているのかもしれない。これはあくまで個人的印象だが。

さて尖閣諸島問題に関する新華社の記事を読むと、尖閣諸島(中国ではDiaoyu Islands)は明時代から中国の領土として地図に載っていて、日本が領有権を主張した1884年より400年も前から中国の領土だったと明言している。

また日清戦争後の下関条約で台湾が澎湖島などとともに日本に割譲された時、尖閣諸島も日本に割譲された。しかしサンフランシスコ条約で台湾、澎湖島が中国に戻された時、尖閣諸島は不法に日本に返還されたと説明している。

これは当然日本の主張と異なる。日本は尖閣は沖縄に属する領土だと主張して、日清戦争により割譲されたものではないとする。これは歴史的に見て正しい主張である。

日本はあらゆる機会を利用して、歴史的事実に裏打ちされた日本の領有権を英字メディアを通じてもっと主張するべきだ。世界の世論を引き付けるために必要なことだと私は思っている。

話がそれてしまったが、小沢前首相が思いを傾けるほど中国政府は彼のことを思っていないのかもしれないと感じた次第である。

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菅氏でも小沢氏でも為替は変わらず

2010年09月13日 | 金融

民主党党首選は明日(14日)に迫ったが、票読みが難しいと見えて大手マスコミは選挙結果の予想を行ってない。日経新聞のサイトを見ると読者の投票ということで「首相に相応しい人」ということでは、菅氏55.1%、小沢氏44.9%「有効な経済政策が期待できる」ということでは、菅氏42.3%、小沢氏57.7%という調査結果が出ていた。

当面の経済政策としては円高対策が課題だろう。小沢氏は円高に対して「(政権を取れば)市場介入を含めて取りうる総てのアクションを取る」と述べている。一方菅氏は「断固とした動きを取る準備をしているし、介入準備に入った」と述べている。

円高対策が党首選の一つの材料になっている訳だが、果たして菅氏・小沢氏は党首戦後(つまり首相になってから)有効な円高対策を取ることができるのだろうか?

私は日本政府による単独為替介入の効果は限定的で成功する可能性は低いと見ているが、その一つの根拠は5月にスイスが介入に失敗していることだ。スイスフランの高騰を抑えるべく、スイス中銀は5月だけでGDPの15%に相当するフラン売り介入を行ったが、スイスフランの高騰を止めることができなかった。

国際決済銀行によると現在のドル円為替の一日当り取引量は1998年に較べて倍近い5,860億ドル(約50兆円、GDPの1割)に拡大している。多少の介入では潰されてしまう可能性が高い。

FTは日本政府による為替介入の難しさについて次の3点を挙げている。「今の円高は為替介入を正当化できる水準か?」「介入は外交的観点から実現可能か?」「介入は円高を止めることができるか?」という3点だ。

名目ベースでは円高は進んでいるが、物価変動を考慮した実質ベースでは日本はデフレが進行したため、1990年代に較べると円安であるので、為替介入を正当化しにくいというのが第一の論点に対する回答だ。

また日本は8千億円の経常黒字を抱えているし、米国の景気回復が焦眉の急なので各国が円高対策に熱意を持っていないというのが第二の論点に対する回答だ。

そして介入の有効性については既に述べたとおりである。

JPモルガンの為替アナリスト・棚瀬氏は「介入の可能性は低いし、政治的圧力から介入に踏み切ったとしても成功する見込みは低い」と述べている。

FTは「どちらが勝つにしろ、民主党の信頼回復と首相の権威確立が優先課題で、為替市場の圧力に屈して介入を始めるのは恐らく悪いスタートになるだろう」と述べている。

もしこの見解が正しいとすれば、為替問題を党首選の主な論点とすることはナンセンスであるし、小沢前幹事長の介入発言を持って「経済政策に期待」することもナンセンスということになる。

むしろ円高の根本的原因が日本のデフレであるならば、いかにデフレを早く食い止めるかということが議論の中心になるだろう。デフレ問題も一つ、二つの対策で片付くものではないが、一つの対策は価格面の過当競争に歯止めをかけるような経済政策を促進することである。それは過当競争に陥っている業界の再編・統合を推進する税制を含む政策を推進することである。

また若い企業家が事業を起こし易くする施策も必要だ。いずれにせよ市場の専門家が目先の単独介入の効果は期待できないと判断していることは重要な事実だろう。

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ミッドタウンで醤油差しを買った

2010年09月13日 | まち歩き

昨日(9月12日日曜日)ミッドタウンのサントリー美術館に出かけた。鍋島焼の展示を見るためだ。鍋島焼は好きな焼き物の一つだ。

鍋島が好きな理由は余白の白の美しさだ。絵柄の描き込みを抑制し余白を大きく取った作品にはある種のストイシズムを感じる。

鍋島展に来た理由の一つは少し前に注ぎ口が欠けた醤油差しを買い換えたかったので、展示即売会に出ていないかなぁと期待したことだ。今使っている醤油差しは10年ほど前有田焼の展示会で買ったものなので次は鍋島と考えたのだ。

だが鍋島藩から幕府の献上品に使われた鍋島焼には醤油差しはなかった。

そこでミッドタウンの中の幾つかのお店を覗いて手頃な値段(2千円強)の醤油差しを買った。どこの何焼きかは知らないが余白の白がすっきりしていて気に入った。もっとも醤油差しの良し悪しは醤油の切れ具合が決め手だが、これは使ってみない限り分からない。

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