世界最大の小売業者ウオールマートは、小型店舗で中国の地方都市の新興中産階級を取り込む計画だ。ファイナンシャルタイムズによると、ウオールマートはラテンアメリカで開発した「コンパクト・ハイパーマーケット」というコンセプトの小型店舗を中国で300店舗作る予定だ。ウオールマートは先月江西省Zhag Suという50万都市で約100坪の店舗をオープンした。ウオールマートの国際部門CEOのマクミラン氏によると、店は小さくても投資利回りは規模の大きな店と変わらない。彼はコンパクト・ハイパーマーケットはウオールマートの国際事業によって今後重要性を増すだろうと述べている。
例えばもしウオールマートが南アフリカでビッド中の小売業者マスマートの支配権を手に入れることができると、サブサハラ地域で小型スーパーを展開することが可能だ。
ウオールマートにとって国際ビジネスは利益率が高い。海外売上が総売上に占める割合は4分の1だが、営業利益ベースでは3分の1を占める。
日本の小売業も中国市場に進出している。例えばセブン&アイは北京で8つ、成都で4つのヨーカ堂を出店している(他に北京・天津でコンビニあり)。ウオールマートに較べるといかにも「上品」な感じ。だが店舗が上品であることと、投資収益が高いということの間には関係がない。ウオールマートの中国の地方店は床はコンクリート、壁はレンガ、場合によってはエアコンなしということだ。
この投資リターンへのこだわりがウオールマートを「良い会社」にしている。ウオールマートは売上ではセブン&アイの7.4倍だが、純利益では14倍の1兆3千億円を稼いでいる。セブン&アイのROE2.6に対しウオールマートは21.1。PERは48.5対14.5だ。
ウオールマートのように新興国に強い企業の株を買うというのも、一つの新興国投資のあり方だろう。FTで調べると同社の株に対するアナリストのコンセンサスはアウトパフォーム(ベンチマークを上回る)だった。