金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

今年最後の寄稿に目鼻がついた

2010年12月14日 | うんちく・小ネタ

ある小さな雑誌に毎月寄稿しているが、今月のテーマが固まってきたので、ほっとしている。毎月読者の関心を持ちそうなテーマを選び自分の切り口で切れるかどうかを模索しているが、テーマが固まり、資料の目鼻がついた時は安堵する。

さて今月選んだテーマは「日米の個人寄付の違い」について。これが今読者が一番求めているテーマかどうかは不明だが、日米の高所得者への課税方針の違いが顕著になってきたので、成熟社会における寄付の意味ということを考えてみることにした。

これは既によく知られていることだが、日本の個人寄付の総額は2600億円程度(今後数字は再調査予定)で、米国は19兆円程度(2774億ドル)と日本の70倍以上の規模。

だが一般に余り指摘されていないことは、米国の寄付の3分の1は宗教団体向けの寄付だが、日本の寄付には宗教団体向けの数字は含まれていない。

では日本の宗教団体向けの寄付はどの程度の規模か?総務省の家計調査のデータを使って推計すると2兆円弱になる。この数字を丸呑みしてよいかどうかは今後の調査によるが。

このあたりについて色々調べていくと、借り物でない自分の切り口のエッセーが出来上がる・・・と思っている。

まあ今日はそんなところで止めにして忘年会に行こう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グローバル・シンカーに日本人がいないことは寂しい

2010年12月14日 | 社会・経済

外交専門誌Foreign Policyが今年のGlobal Thinker100名を選んでいた。Global Thinkerは直訳すると世界的思想家だが、意味するところは「世界の様々な問題を考え具体的な行動を起こす人」という意味だろう。

Global Thinkerの第一位はウォーレン・バフェットとビル・ゲーツの二人だ。二人は個人資産の半分を慈善活動のために使うという運動を起こし、世界中で風土病の撲滅等に援助の手を差し伸べている。

二番目はIMFのドミニク・ストロス・カーン専務理事で三番目がゼーリック世銀総裁。以下オバマ大統領、周小川中国人民銀行総裁・・・と続く。慈善活動家や国際舞台で活躍する政治家が多いが、電子書籍革命を起こしたアマゾンのベゾスCEOとアップルのスティーブ・ジョブスCEOが並んで17位に入っている。その一つ前は中国人でノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏がいる。

著名なアジア人では75位にビルマのアウン・サン・スー・チー女史やパキスタンのアフマド・ラシード氏などが入っている。

この100名のリストの中には日本人の名前は一人もなかった。劉暁波氏やスー・チー女史のような反体制運動で名を成す人がいないということは、日本の社会がオープンであることの証拠だ。またギリシアのパパンドレウ首相(79番目)のように、財政危機に奮闘したことで名を成す政治家がいなかったことは、財政危機が顕在化しなかったお陰だ。

パパンドレウ首相への寸評はFor making the best of Greece's woest year「ギリシアの最悪の年にベストを尽くした」というものだ。中国の諺にいう「家貧しくして孝子顕れ、世乱れて忠臣を識る」というところだ。日本は世が乱れていなかったので忠臣が顕れなかったのかもしれない。

しかし世界三番目の経済大国にして、政治・外交、慈善活動、経済学を中心とした学問の分野、情報通信、環境保護等の分野で世界に良い影響を与える人物が一人も出なかったことはなんとも残念な話である。

日本の政治家やオピニオンリーダーが余りに内向きになり過ぎているということだろう。昨今マスコミで学生や若者の内向き志向を叱咤するジャーナリストや企業トップの声を見聞きするが、まず大人が範を示すべきだろう、と思った次第である。

それにしても回り灯籠のように次から次から首相や外相が替わっていては、良しにつけ悪しきにつけ世界はおろか国内にすら影響を及ぼすことすら不可能である。Global Thinkerにノミネートしてくれと頼む方が無茶というものかもしれない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする