金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

プライマリ・ケア病院、覚えておこう

2010年12月10日 | 健康・病気

昨年出身大学の講堂改築のため、多少寄付をしたことから時々大学の広報誌が送られてくる。最新号をパラパラめくっていたら「プライマリ・ケア医療」の話が出ていた。プライマリ・ケアとは「患者が最初に接する医療」を意味する。小学校をプライマリ・スクールというプライマリと同じ意味だ。広報誌によると、神戸大学は但馬地方をフィールドとした「へき地医療学」の寄付講座を5年前に開設した。この講座は名前を「プライマリ・ケア医学」と名前を変えて第二フェーズに入っている。

日本は2007年に高齢化率(65歳以上の人口比)が21%を超えて人類がかって経験したことがあない「超高齢化社会」に突入した。但馬地方は高齢化率が29.2%と兵庫県でずば抜けて高い。10年後には日本全体の高齢化率が29%になると予測されるので、但馬地方は日本の将来を先取りしているといえる。そうなると医療サービスへの需要が急増し、地域の医療システムが機能不全となって崩壊するという最悪の事態までが予想される・・・・と大学の広報誌は警鐘を鳴らす。

この迫り来る医療危機に対応する一つの試みがプライマリ・ケア医療だ。具体的にプライマリ・ケアについて説明しよう。プライマリ・ケア学会は「身近に容易に得られ、適切に診断処置され、また以後の療養の方向について正確な指導が得られることを重視する概念」と述べている。

米国国立科学アカデミーの定義は以下のとおりだ。プライマリーケアとは,患者の抱える問題の大部分に対処でき,かつ継続的なパートナーシップを築き,家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される,総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである。

もっと分かりやすい説明はプライマリ・ケアを行う医者(総合医)に関する英語のウイキペディアの解説だろう。それによると総合医GP(General Practitioner)とは、「総ての年代の男女の痛みと慢性病を治療し、予防処置(健康診断等)と健康教育を提供する開業医」である。

何の病気か自分で分かれば、細分化された総合病院でも診療科を選ぶことができる。しかし何の病気か分からないので複数の診療科をたらい回しにされた・・・という経験は読者諸氏もお持ちだろう。それを回避するのがプライマリ・ケア、プライマリ・ケアとは総合診療を軸とする診療科ととらえても良いだろう。

☆  ☆  ☆

自宅の近くにプライマリ・ケアを掲げるお医者さんがいるかどうかネットで調べてみた。出てきたのは田無駅前の指田医院http://www.sashida-clinic.jp/info.htmlだ。

この医院にはかかったことがなかった(自宅と指田医院の間に他の診療所や総合病院があるので)が、今度どこか不具合を生じたら行ってみようかな?と思い始めている。

病院や医者のハシゴはいけないと思うが、納得の行くお医者さんを探すことは重要だろう。無論大切なことはHPにプライマリ・ケアの文字があるかないかではなく、そのお医者さんが患者の目線で診療してくれるかどうかであるが。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

富裕層への課税の日米差はどこから来るのか?

2010年12月10日 | 社会・経済

今日(10日)の新聞によると、日本の政府税制調査会は9日、サラリーマンの給与所得控除の対象を年収1500万円部分までとし、それを超える部分は対象外とする方針を固めた。日経新聞によると「この結果、納税者全体の1.2%にあたる約50万人が増税となる」そうだ。

一方アメリカでは今週月曜日にオバマ大統領と共和党が「全所得階層においてブッシュ減税を2年間継続する」ことを含む減税策・長期失業者への失業給付延長で合意に達した。もっともこの合意に対して大統領の身内の民主党内では反対意見が多い。民主党の主張は納税者の2%に相当する富裕層については減税を打ち切るというものだった。

大統領と共和党の間の交渉から、蚊帳の外に置かれた民主党下院議員は、憤懣やるかたなく、昨日幹部会で減税案の修正を求める決議を行った。もっともこれにより減税プランがボイコットになる可能性はなさそうだ。世論調査によると、国民の3分の2が全所得層における減税案に賛成しているからだ。

ところで富裕層に対する課税感の日米における違いはどこからくるのだろうと思っていた時、ツイッターであるウオールストリートジャーナルの日本語記事に出会った。それは「米フェースブックのザッカーバーグ氏、資産の過半の寄付に同意」というタイトルの記事だ。

記事によると26歳のザッカーバーグ氏の資産は69億ドル(58百億円)と推定される(フェースブックの株は非上場なので同氏の資産額は今のところ理論上のものだ)。同氏はこの資産の半分を慈善団体に寄付することを同意した。具体的には同氏は著名投資家ウォーレン・バフェット氏が立ち上げた慈善キャンペーン「ギビング・ブレッジ」に同意し署名した。ギビング・ブレッジは署名者に慈善事業への公的関与と、資産の過半の寄付を求めている。

WSJによるとギビング・ブレッジに署名した人は映画ディレクターのジョージ・ルーカス氏やニューヨーク市長のブルンバーグ氏など50名を超える。

私はこのような富裕層による慈善活動が活発なことが、富裕層への減税に世論が同意する一つの根拠ではないかと見ている。もっとも慈善活動も景気の低迷を受け2009年の米国内の寄付額は前年より3.6%減少して3037.5億ドル(それでも26兆円強!)となった。

米国は才能ある人物が新たな事業を起こして経済を活性化させる報償として大きな富を獲得することを容認し、かつその富の一部を社会に還元することを推奨する社会である。日本はほぼ逆の社会だ。

これはどちらが良いか悪いかの問題ではなく、国や社会の成り立ちの違いや宗教観の違いからくるものだろう。また米国の光の部分だけでなく、深い闇の部分も見なければいけない。ただ今のところ米国システムの方が新しいビジネスの立ち上げを促進していることだけは間違いない。

余談だがツイッターで読むウオールストリート(日本語)は重宝している。何故かというと「無料」であり「日本語であり」スマートフォンで読めるから通勤電車の中などで「チョイ読み」できるからだ。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする