昨年出身大学の講堂改築のため、多少寄付をしたことから時々大学の広報誌が送られてくる。最新号をパラパラめくっていたら「プライマリ・ケア医療」の話が出ていた。プライマリ・ケアとは「患者が最初に接する医療」を意味する。小学校をプライマリ・スクールというプライマリと同じ意味だ。広報誌によると、神戸大学は但馬地方をフィールドとした「へき地医療学」の寄付講座を5年前に開設した。この講座は名前を「プライマリ・ケア医学」と名前を変えて第二フェーズに入っている。
日本は2007年に高齢化率(65歳以上の人口比)が21%を超えて人類がかって経験したことがあない「超高齢化社会」に突入した。但馬地方は高齢化率が29.2%と兵庫県でずば抜けて高い。10年後には日本全体の高齢化率が29%になると予測されるので、但馬地方は日本の将来を先取りしているといえる。そうなると医療サービスへの需要が急増し、地域の医療システムが機能不全となって崩壊するという最悪の事態までが予想される・・・・と大学の広報誌は警鐘を鳴らす。
この迫り来る医療危機に対応する一つの試みがプライマリ・ケア医療だ。具体的にプライマリ・ケアについて説明しよう。プライマリ・ケア学会は「身近に容易に得られ、適切に診断処置され、また以後の療養の方向について正確な指導が得られることを重視する概念」と述べている。
米国国立科学アカデミーの定義は以下のとおりだ。プライマリーケアとは,患者の抱える問題の大部分に対処でき,かつ継続的なパートナーシップを築き,家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される,総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである。
もっと分かりやすい説明はプライマリ・ケアを行う医者(総合医)に関する英語のウイキペディアの解説だろう。それによると総合医GP(General Practitioner)とは、「総ての年代の男女の痛みと慢性病を治療し、予防処置(健康診断等)と健康教育を提供する開業医」である。
何の病気か自分で分かれば、細分化された総合病院でも診療科を選ぶことができる。しかし何の病気か分からないので複数の診療科をたらい回しにされた・・・という経験は読者諸氏もお持ちだろう。それを回避するのがプライマリ・ケア、プライマリ・ケアとは総合診療を軸とする診療科ととらえても良いだろう。
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自宅の近くにプライマリ・ケアを掲げるお医者さんがいるかどうかネットで調べてみた。出てきたのは田無駅前の指田医院http://www.sashida-clinic.jp/info.htmlだ。
この医院にはかかったことがなかった(自宅と指田医院の間に他の診療所や総合病院があるので)が、今度どこか不具合を生じたら行ってみようかな?と思い始めている。
病院や医者のハシゴはいけないと思うが、納得の行くお医者さんを探すことは重要だろう。無論大切なことはHPにプライマリ・ケアの文字があるかないかではなく、そのお医者さんが患者の目線で診療してくれるかどうかであるが。