長期的な国内の需要低迷と円高の中、日本企業の海外企業買収や海外要員のための外国人採用が増えている。これらのことは邦字新聞で周知のことだが、FTも取り上げていた。FTは日本の新聞には書き難いことも直截に書いていて面白い。
例えばディスカウント・ストアのドン・キホーテは、来春130名の新卒採用者の3分の1以上の50名の中国人新卒者を採用する予定だ。そのドン・キホーテである外国人社員は、店のトイレの清潔さに不快だったので、自分できれいにした。また他の外国人社員は、チェックアウト・カウンターの事務員が笑顔を浮かべていないことに気がついた時、激しく叱った。
この点についてドン・キホーテの中国人採用を担当しているエジマ(江島?)マネージャーは「日本人社員、特に最近採用した社員にこのような自発性を期待することは難しい。それは国内企業の権力階層的な文化による。日本人社員は店長が困惑することを恐れて中国人社員と同じ行動を取ることを躊躇するだろう」と述べている。
コンビニエンスストアのローソンは来年アジア市場への拡大を目指して、幹部候補生として20名の外国人を採用する予定だ。
ローソンとドン・キホーテは、外国人卒業生の方が日本人卒業生よりも「日本語」の理解力がしばしば高いことに驚いている。
外国人学生を採用する場合、ランクが高いトップクラスの大学の卒業生を採用する傾向がある(日本人新卒者の大学より外人新卒者の大学の方がランクが高い)
これらの記事から読み取れることは、日本企業は単に海外進出の即戦力として外国人学生の採用を増やしているだけではなく、外国人学生のバイタリティに期待し、また異質のバックグラウンドを持った人材を組織に取り込むことで、新しいアイディアや大局観を活性化しようと考えているということだ。
☆ ☆ ☆
将来もし日本経済が活性化することがあれば、その時2010年頃は企業文化の一つの転換点だったと認識されるかもしれない。活性化への強い意志を持った企業は海外M&Aや外国人の積極的採用で強くなり、そのような意欲とチャンスのない企業は持続的に低迷するという転換点である。
それにしても、この頃の新卒者は大変である。日本人のみならず日本内外の優秀な外国人卒業生と競合しないといけないから。
学生諸君!こんな時期むしろ発想を変えて、1年位アジア諸国を放浪して、異国文化の中で暮らしてみてはどうだろう。そしてその経験をappreciateする会社に進めば良い。もしappreciateしない会社であれば将来性がないと見限る位の気概を持てば良い。