ブログの読者の方から2,3ご質問を頂きました。とりあえず簡単なものからお答えします(これは私のブログそのものではなく、ブログのコメントに対する質問と思われますが、私の考えをお伝えします)
ご質問の一つは次のとおりです。
殆ど輸出ゼロになった場合でも、食糧、エネルギー源、原材料は海外から購入しなければならないと思いますが、その購入外貨はどのように調達するのでしょうか?
ご質問をより一般的な意味で考えると、「輸出が大幅に減少し、貿易収支が大幅に悪化した時どのように資金調達するのか?」ということになると思います。
経済学的には「経常収支+資本収支=ゼロ」という式が成立するそうです。貿易収支は経常収支の一部で、他に「サービス収支」などがあるのですが、話を簡単にするため、経常収支=貿易収支で進めます。
上記の式から貿易収支(=経常収支)がマイナスになると、資本収支がプラスになります。資本収支がプラスになるということは、外国からお金を借りてくるということになります。
この実例は経常赤字のアメリカが発行した国債が日本や中国など海外勢に保有されていることです。
もっとも今のところ日本が海外資産を保有していますので、配当や利息が「所得収支」(経常収支の一つ)として入ってきますし、海外資産そのものを処分することもできますから、ただちに対外債務が増加することにはならないと思います。
また輸出超で外貨が溜まると、外貨を売って円を買いますので、ドル安・円高になります。一方輸入超で外貨が足りないと円を売って外貨を買うので、ドル高・円安になります。
日本は80年代初めから貿易黒字が定着していますが、分間風速的には赤字になったことがあります(たとえば1996年1月)。一時的な赤字であれば問題はないと思います。ただし(可能性は低いと思いますが、何らかの理由で)輸出産業が壊滅し、貿易赤字が定着すると「国富の流出」が続いて大変でしょうね。
学生時代の記憶ですが、初めて海外に行った時、厳しい外貨持ち出し制限があったことを思い出しました。これは超極端な例ですが、輸出が壊滅するとこのようなことも起こりうるのでしょう。