金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

穂高岳~涸沢・奥穂・岳沢の旅~(記録)

2011年08月08日 | 

8月5日金曜日から7日日曜日にかけて会社の山仲間と穂高に出かけた。5日中央線特急あずさ3号は先行列車が鹿と衝突したということで30分遅れて11時前に松本到着。予約していたジャンボタクシーで上高地に向かった。今回総勢8名だが、この人数になるとジャンボタクシーの利用が正解だ。料金は電車・バスの組み合わせと変わらないし、快適さ・柔軟性は比べものにならない。良いタクシー会社を知っているので本当にご利用したい方がいらっしゃればメールをください。ご紹介します。

さてそんなことで上高地に着いたのは12時半頃。小雨が降っている。持参のお弁当を食べてから傘をさして明神池に向かった。何故明神池か?というと昨年槍ヶ岳を登るために横尾を入った時は池と神社をお詣りしなかったので今回はお寄りすることにしたからだ。

午後2時明神池着。

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雨の上がった梓川沿いの道を黙々と歩いて午後4時10分横尾到着。

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横尾山荘に泊まって恒例の「風呂」を楽しみ、川風にあたりながらビールを飲むという至極の一時を楽しんだ。

明けて6日土曜日。予定では北穂高から涸沢岳を経由して穂高岳山荘に向かうチャレンジングな日。雲はあるが青空ものぞくという微妙な天気だ。朝日に前穂高東壁が赤く染まっている。

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午前5時横尾出発。屏風岩を眺めながら涸沢への道を少しピッチを上げて歩いた。

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涸沢小屋到着は7時55分だ。横尾から3時間弱の登りだった。涸沢小屋に着く頃から、ポツリポツリと降りだした雨は小屋のテラスで休んでいる間に本降りとなった。そこで北穂高を断念してザイテングラートから穂高岳山荘を目指すことにする。

8時20分涸沢小屋出発。雨は途中で少し上がる時があったが、基本的には夕刻まで降り続いた。ザイテングラートの岩場にイワギキョウが咲いていた。

Kikyou

ザイテングラートの取付きは残雪を歩いてピッチを稼ぐ。他の人はどうか知らないが私はガレ場よりも残雪が好きだ。スプーンカットの残る雪渓ほど楽に高度が稼げるルートはない。ただし薄くなっているヘリには要注意だが。

11時20分頃穂高岳山荘到着。雨具を着ていてもすっかり濡れ鼠だ。ゴアテックスの雨具でも汗を完全に逃すことはできないので体中じけっとしている。正午前なのに小屋には先着の宿泊客がかなり多く乾燥室もかなり塞がっていた。

山荘の夕食は豪華だった。

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「満員になれば二人で畳1枚でお願いします」と受付時に言われていたが、そこまで混むこともなく寝る時はほぼ畳一枚確保できた。

「起きて半畳寝て一畳、食うたところが2合半」ということばあるが、寝る時に一畳は欲しいものである。最近テント泊はしていないが、その点テントは楽だ。使いたいだけのスペースを使うことができる(その分テントが重くなるが)。

明けて8月7日。午前4時起床。晴れている。身繕いをしてから食堂の前に並んだ。朝飯は早い者順なので最初の一組に入っておかないと出発が遅れてしまう。

5時30分残月が見える奥穂高岳に向けて出発。小屋から急登が続くが2本の梯子を過ぎると傾斜は落ちる。約45分で奧穂高岳登頂。6時15分だ。

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話は少し戻るが奥穂高に登る途中から前穂高の北尾根が見えた。北尾根は槍の北鎌尾根と剱岳の八ツ峰と並んで日本の三大岩稜と言われているらしい。30年程前に登ったことがあるが、詳細はすっかり忘れた。ただし北鎌尾根や八ツ峰に比べるとアプローチが短く登攀時間も短かったと記憶している。

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奥穂高頂上から北を見ると槍ヶ岳が見えた。手前は涸沢岳だ。

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南を見るとジャンダルムが見える。ジャンダルムに続く馬の背という痩せた尾根に向かって登山者が進んでいる。

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ジャンダルムのようなハイレベルの縦走路を安全に歩くには幾つかの鉄則がある。

まず体力・技術力で足並みの揃った少人数でパーティを組むことだ。人数が多いと難所の通過に時間がかかりすぎる。次に天候を選ぶこと。ジャンダルムの先に待ち構える逆層スラブは濡れると手強そうだ。

6時30分奥穂高を出て吊尾根から紀美子平に向かった。途中ヨツバシオガマ越しに奧穂高岳の頂上をみた。Yotubashiogama 

右手岳沢側を見ると上高地が見える。梓川の向こうに山は霞沢岳だ。

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7時50分紀美子平到着。ここから有志で前穂高岳3090mを往復した。頂上到着は8時40分。細長い頂上の上ではヘルメットをかぶり、ザイルをさばいている人がいた。北尾根登頂組だ。Maehopeak

今回の写真はここでお終いだ。この後雲が厚くなり、紀美子平に戻った頃からポツポツと雨が降りだしたからだ。

鎖場が続く重太郎新道は気を抜くことができない。中腹のガレ場で後続者が落石を起こしたのでびっくりした。特にに雨で地盤が緩んでいる時は、ほんの僅かの足の運びが落石を起こすので細心の注意が必要だ。

雨と急傾斜で仲間はかなりへばってきた。ここでへばる様では北穂高から涸沢岳の縦走は厳しかったかもしれない。

11時35分岳沢ヒュッテ到着。前穂の頂上から休憩を入れて3時間弱の下山タイム。途中渋滞があったので少し飛ばすと2時間半で降りることは可能なルートだが傾斜がきつく足に負担がかかった。

岳沢ヒュッテに着くと雨が上がったので大休止。50分程休んで12時半に出発。しばらくすると又雨が降り始めかなり強くなった。上空では雷鳴が続いた。その雨の中を黙々と歩き午後2時20分、上高地バス停到着。私は楽しみにしていたソフトクリームを食べる。山の水も美味いけれど、やっぱりソフトクリームには勝てない。

午後3時予約していたジャンボタクシーに乗り、途中で竜島温泉「せせらぎの湯」に30分立ち寄って松本に向かった。せせらぎの湯はツルツルしていていかにも温泉だ。私は初めて立ち寄ったが、マイクロバスに乗った登山者達が来ていたから有名なのかも知れない。

そして松本の居酒屋で恒例の反省会。こうして私達に夏山は無事終了した。立川に到着すると、テロップが西武線落雷で運休と伝えていた。雨と雷は穂高でも東京でも結構暴れた週末だった。

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うわさで売って、事実でも売られた。米国格下。

2011年08月08日 | 社会・経済

「噂で買って事実で売る」という相場の格言がある。噂は予想・期待感といっても良いだろう。相場は事実を先取りする予想・期待感で買われ、事実が成就した時は逆に売られるということを指したものだ。

先週金曜日市場が閉まった後、S&Pは米国の格付をAA+にワンノッチ引き下げ、かつアウトルックをネガティブに据え置いた。これは向こう2年間の間に更にワンノッチ引き下げられる可能性を示唆している。

株式市場は過去2週間の間に、格下を織り込んで相当売り込まれた。ところが週明けの今日のお昼過ぎ現在、日経平均は2%、香港のハンセン指数は4%程下落している。そこで「噂で売ってさらに事実でも売られる」とした次第だ。

米国の格下が与える影響は、米国債の信用力がちょっと低下したということだけではないだろう。それは米国の議会政治ないしは民主主義における健全な財政再建に対する投資家の疑問が持ち上がったということが言えるのではないだろうか?

ジョン・ケリー上院議員は「この格下は疑問をさしはさむ余地もなくティーパーティ格下だと信じる」と述べている。いかなる税金の引き上げにも反対するティーパーティ系議員の反対で、抜本的な財政再建案が合意に至らず、中途半端な債務上限引き上げに至ったので、S&Pが格下したという見方だ。

FTはもし10年間で4兆ドルの財政赤字削減案が合意されていたならS&Pは格下を行なわなかったかもしれないと述べている。

格下されたのは米国債と共に、政治的瀬戸際戦術を展開した共和党であり、指導力を発揮できなかったオバマ大統領であり、アメリカの政治システムであり、更に言えば高齢化や一層の多民族化で、選挙民の要求が多極化して、調整が困難になった米国のシステムそのものかもしれない。

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奧穂高岳から前穂高岳へ(写真)

2011年08月08日 | 

先週末(8月5日~7日)穂高岳へ出かけた。詳しい内容は別のブログで紹介する予定だが、今回はハイライトの写真を何枚か掲載しよう。ところで昨夜9時半頃帰宅するとワイフが「奥穂高岳で遭難事故があったわよ。62歳の男性が亡くなっただって」と言った。http://www.shinmai.co.jp/news/20110808/KT110807FTI090022000.html2時過ぎに上高地から無事下山した旨メールしたから心配はしていなかったと思うが、改めて山は危険と隣り合わせだと思った次第だ。

その事故があったのは涸沢から奥穂高岳と涸沢岳の鞍部・白出(しらだし)のコルに上るザイテングラードと呼ばれる一般ルートである。我々も6日の日にここを登った。ザイテングラードSeitengratはドイツ語で「支稜」という意味で、涸沢のカールから穂高の稜線に登る一番ポピュラーなルートだが、岩が脆く落石が遭難原因となったようだ。お亡くなりになった方々とは前日穂高岳山荘に一緒に泊まっていたと思われる。ご冥福を祈ります。

さて7日の朝は晴。5時半に穂高岳山荘を出発して奥穂へ向かった。写真は小屋から奥穂高岳の登り口を撮ったものだ。頂上は左の尖ったピークの奥で見ることはできない。写真中央の岩場にハシゴが小さく写っている。ここを登って右手の緩斜面から左上に上っていく。

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奥穂高岳を特徴付けるのがジャンダルムだ。ジャンダルムはフランス語で衛兵の意味。転じて前衛峰を指す。

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朝一番の急登は応えるが、40分強で奥穂高岳3190mに到着。日本三番目の高峰だ。

涸沢岳と北穂高岳の間から槍ヶ岳が見える。

Yari

南に目を転じるとジャンダルムが見える。写真中央に馬の背からジャンダルムに向かう登山者が見える。奥穂高岳からジャンダルムを越えて西穂高岳に向かう縦走は、一般登山道の縦走では最難関といわれている。ザイル等のクライミングギャを使わないルートでは一番タフなコースだ。私はこのルートを歩いたことがない。ロッククライミングを行なっていた時は易しすぎて対象外だったし、ロッククライミングを離れた今となっては少し腰が引けるルートだ。

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我々が目指すのは写真の前穂高岳(左・右は明神岳)だ。紀美子平から前穂高岳を往復し、重太郎新道を下って岳沢に至るという一般ルートだ。

Maeho

奥穂高岳と前穂高岳を結ぶ稜線を吊尾根という。吊尾根というのは二つのピークの間のたわんだ稜線を指す普通名詞だが、the吊尾根というとこの稜線を指すようだ。登山道は傾斜の緩い岳沢側を通っている。吊尾根から上高地とその向こうに霞沢岳が見える。素晴らしい景観だ。

Kamikouchi

吊尾根に難しいところはないが、岩場が連続するので気は抜けない。

Turione 

とりあえず穂高縦走のハイライトをご紹介しました。

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