8月5日金曜日から7日日曜日にかけて会社の山仲間と穂高に出かけた。5日中央線特急あずさ3号は先行列車が鹿と衝突したということで30分遅れて11時前に松本到着。予約していたジャンボタクシーで上高地に向かった。今回総勢8名だが、この人数になるとジャンボタクシーの利用が正解だ。料金は電車・バスの組み合わせと変わらないし、快適さ・柔軟性は比べものにならない。良いタクシー会社を知っているので本当にご利用したい方がいらっしゃればメールをください。ご紹介します。
さてそんなことで上高地に着いたのは12時半頃。小雨が降っている。持参のお弁当を食べてから傘をさして明神池に向かった。何故明神池か?というと昨年槍ヶ岳を登るために横尾を入った時は池と神社をお詣りしなかったので今回はお寄りすることにしたからだ。
午後2時明神池着。
雨の上がった梓川沿いの道を黙々と歩いて午後4時10分横尾到着。
横尾山荘に泊まって恒例の「風呂」を楽しみ、川風にあたりながらビールを飲むという至極の一時を楽しんだ。
明けて6日土曜日。予定では北穂高から涸沢岳を経由して穂高岳山荘に向かうチャレンジングな日。雲はあるが青空ものぞくという微妙な天気だ。朝日に前穂高東壁が赤く染まっている。
午前5時横尾出発。屏風岩を眺めながら涸沢への道を少しピッチを上げて歩いた。
涸沢小屋到着は7時55分だ。横尾から3時間弱の登りだった。涸沢小屋に着く頃から、ポツリポツリと降りだした雨は小屋のテラスで休んでいる間に本降りとなった。そこで北穂高を断念してザイテングラートから穂高岳山荘を目指すことにする。
8時20分涸沢小屋出発。雨は途中で少し上がる時があったが、基本的には夕刻まで降り続いた。ザイテングラートの岩場にイワギキョウが咲いていた。
ザイテングラートの取付きは残雪を歩いてピッチを稼ぐ。他の人はどうか知らないが私はガレ場よりも残雪が好きだ。スプーンカットの残る雪渓ほど楽に高度が稼げるルートはない。ただし薄くなっているヘリには要注意だが。
11時20分頃穂高岳山荘到着。雨具を着ていてもすっかり濡れ鼠だ。ゴアテックスの雨具でも汗を完全に逃すことはできないので体中じけっとしている。正午前なのに小屋には先着の宿泊客がかなり多く乾燥室もかなり塞がっていた。
山荘の夕食は豪華だった。
「満員になれば二人で畳1枚でお願いします」と受付時に言われていたが、そこまで混むこともなく寝る時はほぼ畳一枚確保できた。
「起きて半畳寝て一畳、食うたところが2合半」ということばあるが、寝る時に一畳は欲しいものである。最近テント泊はしていないが、その点テントは楽だ。使いたいだけのスペースを使うことができる(その分テントが重くなるが)。
明けて8月7日。午前4時起床。晴れている。身繕いをしてから食堂の前に並んだ。朝飯は早い者順なので最初の一組に入っておかないと出発が遅れてしまう。
5時30分残月が見える奥穂高岳に向けて出発。小屋から急登が続くが2本の梯子を過ぎると傾斜は落ちる。約45分で奧穂高岳登頂。6時15分だ。
話は少し戻るが奥穂高に登る途中から前穂高の北尾根が見えた。北尾根は槍の北鎌尾根と剱岳の八ツ峰と並んで日本の三大岩稜と言われているらしい。30年程前に登ったことがあるが、詳細はすっかり忘れた。ただし北鎌尾根や八ツ峰に比べるとアプローチが短く登攀時間も短かったと記憶している。
奥穂高頂上から北を見ると槍ヶ岳が見えた。手前は涸沢岳だ。
南を見るとジャンダルムが見える。ジャンダルムに続く馬の背という痩せた尾根に向かって登山者が進んでいる。
ジャンダルムのようなハイレベルの縦走路を安全に歩くには幾つかの鉄則がある。
まず体力・技術力で足並みの揃った少人数でパーティを組むことだ。人数が多いと難所の通過に時間がかかりすぎる。次に天候を選ぶこと。ジャンダルムの先に待ち構える逆層スラブは濡れると手強そうだ。
6時30分奥穂高を出て吊尾根から紀美子平に向かった。途中ヨツバシオガマ越しに奧穂高岳の頂上をみた。
右手岳沢側を見ると上高地が見える。梓川の向こうに山は霞沢岳だ。
7時50分紀美子平到着。ここから有志で前穂高岳3090mを往復した。頂上到着は8時40分。細長い頂上の上ではヘルメットをかぶり、ザイルをさばいている人がいた。北尾根登頂組だ。
今回の写真はここでお終いだ。この後雲が厚くなり、紀美子平に戻った頃からポツポツと雨が降りだしたからだ。
鎖場が続く重太郎新道は気を抜くことができない。中腹のガレ場で後続者が落石を起こしたのでびっくりした。特にに雨で地盤が緩んでいる時は、ほんの僅かの足の運びが落石を起こすので細心の注意が必要だ。
雨と急傾斜で仲間はかなりへばってきた。ここでへばる様では北穂高から涸沢岳の縦走は厳しかったかもしれない。
11時35分岳沢ヒュッテ到着。前穂の頂上から休憩を入れて3時間弱の下山タイム。途中渋滞があったので少し飛ばすと2時間半で降りることは可能なルートだが傾斜がきつく足に負担がかかった。
岳沢ヒュッテに着くと雨が上がったので大休止。50分程休んで12時半に出発。しばらくすると又雨が降り始めかなり強くなった。上空では雷鳴が続いた。その雨の中を黙々と歩き午後2時20分、上高地バス停到着。私は楽しみにしていたソフトクリームを食べる。山の水も美味いけれど、やっぱりソフトクリームには勝てない。
午後3時予約していたジャンボタクシーに乗り、途中で竜島温泉「せせらぎの湯」に30分立ち寄って松本に向かった。せせらぎの湯はツルツルしていていかにも温泉だ。私は初めて立ち寄ったが、マイクロバスに乗った登山者達が来ていたから有名なのかも知れない。
そして松本の居酒屋で恒例の反省会。こうして私達に夏山は無事終了した。立川に到着すると、テロップが西武線落雷で運休と伝えていた。雨と雷は穂高でも東京でも結構暴れた週末だった。