日曜日(6月17日)にギリシャで行なわれた総選挙で緊縮支持派が僅差で勝利をおさめた。ユーロは対ドルで1ヶ月ぶりの高値を回復。対円でも1.26円上昇。日経平均も銀行株の上昇等により180円ほど上昇している(18日9時半現在)。市場はギリシャがユーロから離脱する危機が回避されたことを素直に好感したと思われる。
だが緊縮支持派と反対派の得票差を見ると僅差なので、手放しで好感してよいのかどうかは多いに疑問が残るところだ。
直近のロイター(英語版)によると、97%の開票が済んだ時点で、新民主主義党(ND)は29.7%の票を得て、急進左派連合(SYRIZA)の26.9%を僅差で上回っている。また緊縮派の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)の得票率は12.3%だ。
選挙で1位になった党には50議席のボーナスが与えられるので、緊縮派の獲得議席は162議席(総議席数300)になると見られている。
「欧州の金庫」であるドイツのショーブル財務相は「ドイツ連邦政府は選挙結果はドイツの投票者達が広範な経済と財政の改革を行なうというコミットの表れと考えるだろう」という声明を発表した。またメルケル首相のスポークスマンはツイッターで新民主主義党のサマラス党首に「良い結果でおめでとう。早急に安定した政権を作ることを望みます」とコメントを発表した。
だが僅差の勝利に新政権が短命に終わるのではないか?と懸念する声は多い。ギリシャ国民の中には、汚職と時間の浪費でギリシャ経済を疲弊させ、世界最大級の債務国にしたND等既存政党に嫌々ながら投票した・・・というムードが強い。つまり積極的にND等を支持する訳ではないが、ユーロ離脱は避けたいという選択である。
またサマラス党首は経済成長助長の観点から救済パッケージの条件を再交渉したいと述べているが、ドイツは微調整以外は応じないという姿勢だ。
前途多難な船出である。