ニューヨーク・タイムズによると、ドイツは債務負担に苦しむユーロ圏諸国をサポートするため、重要な取引を条件付だが受け入れる準備があるということだ。ドイツ政府はユーロ諸国の連帯債務になる欧州債の発行については、憲法違反になると反対しているが、新しい提案は欧州諸国が抱える既存の不良債権をプール化して25年で返済を受けるというアイディアはドイツ国内で代替案として勢いを増している。この提案が欧州債構想と異なる点は、オープンエンド型ではなく、対象範囲が限られていることで、ドイツの憲法裁判所の承認を得る上でプラスと考えられている。
ただしその見返りとして、ドイツは広範な財政統合、欧州全体の銀行の監督及び緊密な経済政策の協調を求めている。
このような大きな規模の変革は容易でないし、市場にユーロの安定を納得させうるかどうかははっきりしない。先週末著名なヘッジファンド投資家ジョージ・ソロスは「ユーロ圏の政治的・社会的力学はユーロの崩壊に向かって動いている」「ドイツの支援なくして何もできない」と警告を発した。
だがドイツ政府の懸念は財政支出と赤字に対する防止装置がないと、ドイツは支出過剰のパートナーに骨までしゃぶられるということだ。あるドイツの新聞は「メルケル首相はゆっくりと時代の変化に適応を始めている。彼女はユーロの墓堀人になることを望んでいない」と書いていた。
だがそれは時間との戦いである。