クリスマス・シーズンだが神は総ての人に恵みを与えるとは限らないようだ。FTはToymakers tremble as tots turn to tablet(子供達がタブレットに向かっているので玩具メーカーは怯えている)という記事で、3歳以上の子供にとって今年一番ホットなプレゼントはキンドルやiPadのようなタブレット端末だと述べている。
記事によると今年機種を更新する両親たちは、古い機種を喜んで子供たちに譲ると予想されている。玩具メーカーにとっての危機は、今シーズンの売上が落ちるだけではない。子供たちがタブレット端末に夢中になり、バービー人形(アメリカ最大の玩具メーカー・マテル社の商品)や機関車の玩具などに興味を示さなくなることだ。
タブレット端末のようなディバイスは、大人の生活を変えるだけでなく、子供の興味の対象も変える。タブレット端末の普及は玩具メーカーだけでなく、多くのモノ作り業者に影響を与えることは必至だ。音質や画質に対するこだわりを少し我慢すると、タブレット端末はラジオになり、テープレコーダーになり、ビデオカメラになり、本になる。バッテリーの持ち時間から見て利便性はスマートフォンの比ではないと私は考えている。
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ところで今年赤ん坊用のおむつの出荷数を高齢者向けのそれが上回った日本。来年は高齢者にタブレットを徹底的に普及させるべき年だ、と私は考えている。
「タブレットはベビーシッターだ」という言葉が記事に出ていたが、「タブレットはcarer(介護人)の一人だ」という言葉が生まれてもよさそうだ。
では高齢者にとってタブレットはどのように役に立つのあろうか?思いつくままに列挙すると次のようなことが考えられる。
・無料でラジオや音楽を聴きたいだけ聴くことができる
・安く新聞を購読することができる(日経新聞のようにネット購読に4千円もチャージする法外な新聞は別だが)
・離れて暮らす家族、友達、世話をしてくれる人達と電話やメールで簡単にコミュニケーションをとることができる
・スーパーなどに簡単な操作で宅配注文ができる
・血圧計などと組み合わせることで、病院で受ける定期的な検診回数を減らすことができる
公共団体、サービス・プロバイダー、ボランティア達が力を合わせてこの問題に取り組んで欲しいと私は考えている。いや可能であればそのような動きを積極的に作り出したいと考えている。
それは目先数兆円のコスト削減につながるだけでなく、多くの人々に年をとっても私達は世界とつながっている、という思いを生み、生きていく意味を与えてくれるのではないだろうか?