金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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米財務省、日本に為替競争回避を要請

2013年04月13日 | 国際・政治

米国財務省は昨日(4月12日)半年ごとに議会に提出している為替報告書の中で「オバマ政権は日本が競争上の優位性を確保するために、円安を目的とした経済政策を取らないかどうか注視していく」と警告を発した。

このニュースはロイター等で広く流れているので、特段目新しい話ではない。昨年の安倍政権発足当時は一部の政治家の中に「円安を目指す」という発言があり、海外の関係筋から批判を浴びたことがあった。その後日本の政治家も賢くなり、もっぱら「金融緩和政策はもっぱらデフレ脱却を目指す目的だ」と述べている。またオバマ政権も円安を容認していたが、なぜここに来て日本に警告を発したのか?という背景を推測してみた。

  • たまたま為替報告書を提出する時期と4月4日(日銀金融政策決定会合)以降の急速な円安(米ドルに対して2.2%、ユーロに対して3.5%、豪ドルに対して2.8%)が重なった。
  • 米国としては世界経済成長促進の観点から日本のデフレ脱却政策は支持するが、円安が急速かつほぼ妥当なレベルまで進んだと判断した。
  • 本格化するTPP交渉に向けて「日本に様々な面で規制緩和、構造改革を求める」布石を打った。
  • 報告書は中国、韓国の為替介入にも警鐘を鳴らしている。日本発の通貨安競争が拡大することを防ぐ目的がある。

 などなど。

ところで将棋を指していて、相手に激しく攻めらた場合、その局面で受けに回ってばかりいると潰されてしまうことがある。そんな時は違う方面から逆襲する作戦が成功する場合がある。

日米間の様々な問題もまた将棋盤のようなものではないだろうか?攻めてきたら、真正面からぶつかるだけでなく、搦手から攻めて相手の勢いをかわす、という手がある。また相手の手に乗って受け潰してしまう、という大山名人的な対応もある。

米国の理屈は「日本の金融政策の目的はデフレ脱却であり、通貨安を目的でないことを日本にG20など国際会議の場で約束させる。デフレ脱却と経済成長にためには金融政策だけでは不十分なことは日本も『三本目の矢』で承知しているはずだ。だから規制緩和が必要だ」というようなものだろう。タフな交渉の季節がやってくる。

さて1ドル100円近くまで下落した円だが、NY市場では98円台後半まで上昇した。この辺りが転換点なのだろうか?

コメント
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