昨日米国の調査機関Pewresarchの日本に関する各国世論調査結果が日本の新聞にも一部報道されていた。
日本の新聞に載っていたことも含めて調査結果のポイントをまとめると次のとおりだ。
- 日本国民の国の方向に対する満足度はピューが2002年に調査を開始して以来、最高水準にある。国の方向に対して満足している人は33%だが、昨年から13%上昇している。
- 国の経済状態については、27%の日本人が経済状態は良いと言っているに過ぎないが、昨年はたった7%の人が良いと言っていたのに過ぎないので、顕著にリバウンドしている。因みにピューが2013年に調査を行った先進国14カ国の間で、日本より経済状態が良いと言っている国は、ドイツ(75%)、カナダ・オーストラリア(各67%)、イスラエル(43%)、米国(33%)だった。( )内は良いと言っている人の比率。
- また向こう1年間の経済見通しについて、経済見通しが良いと言っている国としては日本は米国についてで2番目である。
- 阿部首相に対して日本人の71%が好感を持っている。男女別、年齢別、所得別、都会・地方別の支持率の差はほとんどない。
- 憲法改正に反対する人の割合は現在56%と過半数を超えているが、反対する人の比率は06年の67%、08年の58%から少しずつ低下している。憲法改正を支持する人は男性が45%、女性は28%に過ぎない。
- 日本に対するアジア・太平洋地域諸国の見方は、南北で分かれている。マレーシア(80%)、インドネシア(79%)、オーストラリア(78%)、フィリピン(78%)~( )内は肯定的な見方をする人の割合~など南方諸国の人は日本に肯定的な見方を示すが、韓国では22%の人が肯定的な見方を示すに過ぎず、中国に至っては4%の人が肯定的な見方を示すに過ぎない。韓国では77%、中国では90%の人が現在の日本に否定的な見方を取っている。
さて現在の日本に対するアジア諸国の見方がこのように分かれる理由は何だろうか?というのが今日のテーマ。タカ派とみなされる安部政権の国内人気や島嶼問題で中韓に苛立ちが高まっていることは容易に想像できるが、それ以前から中韓の日本に対する見方は厳しかった。
ピューによると韓国の場合、肯定的な見方は08年から25%減少したというから08年に肯定的な見方をした人は47%で、同様に中国では06年当時に肯定的な見方をした人は21%に過ぎなかった。
話は変わるが昨夜TBSの「世界ふしぎ発見」を見ていたら、サンフランシスコ講和会議でスリランカの代表ジャワワルデネ氏(後に大統領)の日本の分割統治に対する反対演説で日本が分割統治に陥る事態から救われた、という話が紹介されていた。娯楽番組の揚げ足をとるつもりはないが、セイロン(スリランカ)の代表の演説が如何に感動的なものであったにしても、それだけで日本に対する諸外国の扱いが変わるものではない。現に米国のトルーマン大統領は「われわれのあいだに勝者もなく、敗者もなく、ただ平和に協力する対等なものだけがある」と演説し、パキスタン代表は「あたえる手は受けとる手よりも高く上がる」と演説した。ザクッというと冷戦の激化が日本に有利な環境を作り出したのである。
とはいうもののスリランカやインドなどが当時から日本に好意的だったことは事実。これは南アジア、東南アジア諸国の独立に日本が大きく寄与したからに他ならない。日本による占領あるいは占領はなかったものの爆撃(スリランカ)などの攻撃というマイナス面はあったものの、その後の独立や経済発展を考えると日本はこれらの国にとってトータルではプラスを与えたと判断されている訳だ。
それに較べて韓国や中国の日本に対する評価は極めて悪い理由は何だろうか?そのことを書くと長くなるので今日は止めるが、恐らく「長年格下と思っていた日本に踏みにじられた悔しさ」「自力で日本に勝てなかった悔しさ」のようなものがあるのではないか?と私は感じている。