教育熱心なことで有名な中国。中国のように教育熱心な国ではオンライン教育が巨大な将来性を持っているのは当然のこととWSJはOnline education a new frontier in Chinaで書き出す。
正確に言うとIn a country as obsessed with education as Chinaとあるので「中国のように教育という強迫観念が頭から離れない国」ということなので、異常なまでに教育熱心な韓国や日本も筆者の射程距離にあるかもしれない。
筆者Wei Guさんは「中国人は教育熱心で金持ちは数十万ドルを払って子供を海外留学させる。また中国は世界最大のインターネットユーザを持ち、世界最大のスマートフォン市場を持っているにもかかわらずオンライン教育の普及は米国に比べて遅れている」と述べる。
Weiさんは中国でオンライン教育が普及しない理由を二つあげている。一つはオンライン教育に対する投資が少ないこと。
米国の例をあげるとオンライン教育のベンチャー企業coursera(コーセラ)という会社がある。この会社はベンチャーファンドなどから出資金を集めて運営されている。まだ収益をあげるところまでいっていないが、昨年11月には世界中から190万人の生徒が一つ以上の講座に登録したといわれている(ウィキペディアによる)。
中国でオンライン教育が普及しないもう一つの理由は「中国では教育システムが試験に焦点を当て、米国に比べてinteractive learningが必要とされない」からだとWeiさんは述べている。
ここでは2番目の論点に着目しよう。つまりinteractive learning 双方向・対話型学習を重視する米国と試験にパスすることを重視する中国および同心円上にある日本の教育に求めるものの違いである。
試験にパスすることを重視する教育では、暗記が中心になる。暗記は過去思考である。過去の出来事を沢山記憶している人が試験で優秀な成績をおさめ、官僚や共産党の幹部になっていく(中国の場合)。
だがinteractive learningの場合は、個々の事実を記憶するよりも、IT技術を使ってそれらを収集したり分析することに重点が置かれるようだ。「ようだ」というのは頼りないがinteractive learningについてあまり詳しくないので逃げた次第。
オンライン教育の普及の差の裏には、先行投資の問題や教育関係者のITレベルの問題以前に、学習方法さらには学習目的の違いがあるようだ。世界が予見可能であった場合は「記憶重視型」の教育が手っ取り早い成果をあげたかもしれないが、世界が予見不可能な時代に入った場合は、interactive learning型の教育が強みを発揮すると思われる。