登山中の事故が増えている、と感じる。先週日曜日(7月28日)の朝北アルプスの五竜岳を登っている時、すぐ近くで滑落事故があり、61歳の女性が亡くなった。http://www.knb.ne.jp/news/detail/?sid=384
また昨日GPSショップの菅野さんと話をしている時、彼女のお知り合いの写真家が1週間ほど前剣岳で落石に会い亡くなったという話を聞いた。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130722-OYT1T00352.htm
もっと大きな事故は韓国人登山者の3名が死亡、1名が心肺停止という一昨日の中央アルプス檜尾岳の事故だ。http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5396416.html
ざっと見ただけでも約1週間の間にこれだけ事故が起きている。事故の直接的原因(滑落、落石、低体温症・・)は様々だが、最近の山岳事故には幾つかの共通点がある。
第一に登山人口が増えたことだ。登山者が増えることは色々な面で事故につながる。一つは人為的な落石の可能性が高まることだ。また登山者の増加は登山道の渋滞を引き起こす。天気が悪い時の渋滞は気持ちを焦らせ、事故を招く。渋滞を回避しようとして、ルート以外の場所を歩く人がいるが、熟達者以外は行なってはいけない行為だ。本人にとって危険なだけでなく、落石を起こす可能性が高いからだ。
第二に技術的に未熟・体力不足・コミュニュケーション能力不足(外国人登山者に多い)の登山者が増えていることだ。この前小雨の中五竜岳を登って感じたのだが、鎖にしがみつき、へばりつく様にして岩場を登っている人が多いことだ。特に中高年女性にはこのような登り方をする人が多い。しかしこれでは足場を見ることができない上、重心が体の中心からずれているので非常に滑り易い。
第三に天候の急変が目立つことだ。地球温暖化により冬の積雪が減り、雪山登山は昔より簡単になっている場合が多い。しかし春山、夏山では天候の急変、集中的な豪雨などが目に付く。
第四は我々のような中高年の登山者が増えていることだ。中高年になると体力の衰えはそれほどでなくてもバランス感覚は確実に衰える。それが転倒事故を招く。また元気そうでも登山中に潜伏していた病気が出る可能性が高いのも中高年の特徴だろう。
なお山岳事故で一番多いのは「道迷い」だ。中高年登山者の中には「ガイドに付いてきただけ」「ベテランの仲間の後をついて歩くのが精一杯でどこを歩いているのか分からない」という人がいる。何らかの理由でこれらの人が仲間から外れた場合(例えばトイレに行っている間に仲間とはぐれるなど)、たちまち道に迷ってしまうことは想像に難くない。
以上のような理由から、一般道を登る夏山登山でも遭難事故は起きる。「俺は大丈夫だ」「私はそんな危ないところには行かない」と考えるのは過信である。写真を撮っていて路肩を踏み外すこともあればスズメバチに襲われる可能性もある。山を登る限り、危険もまた一緒の登るのである。
山岳事故でお金がかかるのが、民間ヘリによる救助だ。これをカバーするのが、レスキュー費用保険だ。http://www.nihiho.co.jp/
このブログは保険会社の宣伝ブログ(ブログの中には「記事広告」もある)ではないが、中高年登山者の「お守り」としてレスキュー保険には入っておくべきだろう。保険料は年間5千円、一晩飲みに行けば使うお金で安心を買っておこう。
私は自分の山仲間に保険加入を強く呼びかけ、未加入の人(お金持ちは除くが)とは、一緒に登らないよと宣言しようかしら、と考え始めている。