金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

沢の楽園・赤木沢を登る(3)~まとめ

2014年09月17日 | 

9月15日に登った赤木沢についてまとめてみた。

【黒部川奥の廊下の通過】

幾つかの赤木沢遡行の記録を読んでもアイディアがまとまらないのが、薬師沢小屋から赤木沢出会いまでの遡行ルートである。「胸まで浸かっての渡渉」だとか「高捲きに苦労」など色々な記述がある。ルートや困難度合いが異なるのは、黒部川の水量の違いによるところが大きいだろう。私たちが遡行した時期は水量が少なく、8回の渡渉は深くても太もも程度だった。

一般に沢は曲がる時、水流の流れが遅い内側に砂や石を堆積する。水流の外側は急で総じて深い淵を形成し通過が困難な場合が多い。だから時々渡渉して石の堆積したゴーロ帯を選んで歩くことになる。

Keikokunoasa

渡渉ポイントを的確に見つける目の確かさが黒部川遡行のポイントだ。

次の写真はGPSの軌跡図である。

Kurobe

渡渉ポイントの取り方は参考になるかもしれない。ただし当然のことながら水量が変わるとルート取りは変わる。なお黒部川には渡渉の目印になる「ケルン」のような人造物は一切なかった。ケルンを積んでも、増水で流されてしまうから残らないのか、それとも人造物を残さず、総ての遡行者が新鮮な眼で沢を見るように、という配慮なのだろうか?

いずれにせよ黒部川にも赤木沢にもケルンや赤布のような目障りな人造物はほとんどなかった(源頭近くにケルンが一つあった)。自然そのものを残してきた先人の思いを大事にしたいと思う。

【装備】

今回は6mm×15mの補助ロープを持参したが使わなかった。ただし増水に備えて補助ロープは持参するべきだろう。赤木沢の遡行では、大滝の捲き道で一ヶ所ステップの間隔が広いところがあった。岩登りに慣れている人ならまったく問題がないが、初心者だと少し怖い思いをするかもしれない。

Ootaki2

装備という点では水に入っても暖かくかつ水切りの良いアンダーウエアとズボンのレイヤリングがポイントになる。アンダーウエアはファイントラックのアクティブスキンを使ったところ中々良かった。

【赤木沢大滝から上部のルート】

赤木沢大滝を超えるまでは一本道で迷い様がない。だが大滝から上では幾つかのルートを選択することができる。どこを登ってもそれほど差はないと思うが我々は赤木岳に直登するルートを選んだ。このあたりは趣味の領域だろう。

【イワナ釣り】

今回私は竿を持って行かなかったが、同行のKさんは竿を新調してきた。残念ながらイワナを釣るどころかほとんど魚信もなかったと思う。薬師沢小屋には釣師がかなり入っているので、簡単には釣れないかもしれない(と思った)。もし本気で釣をするなら、太郎平から薬師沢小屋に向かう途中から、薬師沢に入り釣り下がるという手はあったかもしれない。これは小さな反省点だ。

【東京からのアプローチ】

赤木沢遡行の拠点になる薬師沢小屋には有峰湖畔の折立から太郎平に登るのが一番早い。ただし折立までの距離は長い。往復750kmの走行だった。マイカー(ワーゲンゴルフ)は45Lのガソリンを消費(燃費はリッターあたり16.5km)した。山坂の多さを考えると中々立派な燃費といえるだろう。

【リアルスポーツとしての沢登り】

ヘミングウエイに「リアルスポーツといえるものは、闘牛、自動車レース、登山、キャニオニングだけだ」という言葉がある。キャニオニングは日本でいえば沢登りだ。沢登りは登攀技術に加えて確かなルートファインディング能力やファイティングスピリッツを要求されるリアルスポーツだと私も思う。

この年になって易しい沢とはいえ、黒部の懐を歩くことができた喜びは大きい。

Kさんという素晴らしいパートナーに恵まれたこと。機嫌良く?送り出してくれた優しい妻に恵まれていること。今なお元気で暮らしている両親から元気な身体を貰ったことなどに感謝をしたいと思う。

私は幸せな人生を送っていると思う。その幸せの大きな部分は山から貰っていると思う。そして山に中でも取り分け沢から頂いているものは大きいと改めて思った赤木沢遡行だった。

コメント
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