金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

私の生涯学習論(10)~愚者は平均に惑い、賢者は自分に学ぶ

2015年09月08日 | ライフプランニングファイル

昨日(9月7日)は久しぶりに銀行時代の「証券畑」の連中と丸の内のビヤホールで飲みました。

「証券畑」の連中ですから、個人の資産運用に熱心な余り突っ込み過ぎて、この急落相場にボヤキが出るのか?と思っていたらそうでもなく、皆さん割りと余裕綽々(しゃくしゃく)でした。「Sさん(私のこと)も本に書いているでしょ。現在の資産運用は長期的に見て年4%程度で回れば恩の字です。株価はこれまで急速に上昇してきたので、調整局面ですね。」とUさん。それだけ覚めた見方ができていれば問題はないでしょう。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という趣旨のことを述べたのは、ビスマルクですが、「証券畑」の方々も、相場の歴史を学んで賢者になられたのでしょう。

昨夜一緒に飲んだ仲間は60歳という節目を向かえた、あるいはまもなく節目を迎えると連中が多く、勢い「老後の楽しみ方」などという話が中心になりました。大学時代にマンドリンをやっていたUさんは最近チェロを買い、レッスンに通い始めたとのこと。

また60歳を迎えてシニア職に就き、時間的な余裕が出てきたFさんは「絵を描いてみようかな」と言う。「Sさんは何か楽器をやるのですか?山に行った時オカリナなんか吹くと楽しいと思いますよ」とUさんが話を振ってきた。実は以前からオカリナをやってみようかな?と考えていたので良いところを突いてきます。ただし私は音感が悪く、ちゃんと吹けるようになるか不安なのでまだ踏み切っていないのですが・・・

さて今日の日経新聞電子版に「長生きの自由時間は膨大 楽しむにはお金がいる」という記事がでていました。

記事によると22歳から65歳までの自由時間は概算10万9005時間。計算根拠は平日は3時間の自由時間、年間120日の土日・祝日は15時間の自由時間としてその合計です(計算するとそうなりました)

一方セカンドライフは「毎日が自由時間」ですから、毎日の自由時間は15時間。65歳から19年間生きるとして15時間×365日×19年=10万4025時間になります。19年は男性の平均余命ですから、65歳までの自由時間と65歳以降の自由時間はほぼ一緒ということになります。

この記事の筆者の山崎俊輔消費生活アドバイザーは「時間がどんなにたくさんあっても、その自由な時間をエンジョイするお金がなければ、何もせずじっとするしかありません。それではバラ色の老後とはいえません。自由時間がたくさん、ということは趣味に使うお金もたくさんいるのです。」といい、だから「若い時からお金を貯めておきましょう」とアドバイスしています。

お説ごもっともだと思います。

でも覆水盆に返らず、夏の間歌を謡って気楽に過ごしていたキリギリスは厳しい冬を迎えます。

若い人はアリになってコツコツと老後の趣味生活のためにお金を貯めることもできるのですが、冬の食糧不足を知らずに

遊んでいたキリギリスはどうすれば良いのでしょうか?

一つは「自由時間があるから何かをするためにお金を使う」ことになるのですから、自由時間を減らせば良い訳です。一番良いのは働ける間は働くことです。ただしこれは働く機会・場所の問題がありますから、必ずしも万人向けではないかもしれません。

次にボランティアを考えてみましょう。できればお給料は貰えなくても、食事代位出るボランティアを見つけたいですね。

またDIYを実践するのも良いと思います。DIYは家具を作ったり、家の小修理をするだけではなりません。今までお金を払って人にやって貰っていた行政手続きなども全部自分でやってみるのです。そうすれば世の中の仕組みも分るし、経費を削減することもできます。家事に取り組むのも良いと思います。時には手間暇をかけて料理に取り組むのも良いでしょう。

これらのことをやると一日の自由時間はあっという間に減少します。減少するから自由時間を恐れることはなくなります。

若い時から「セカンドライフに備える」ことは良いことですが、備え不十分でもある程度リカバリーショットを打つことは可能だと私は考えています。また若い時に遊んで身につけた知恵は役に立つこともあります。若い時の遊びは無駄にはなりません。

大切なことは「他人を見ない。平均を気にしない」ことです。特に老後の平均支出などというものは余り参考にはなりませんから気にしない方が良い。我々は平均的な生活を生きているのではなく、自分の生活を生きているのです。だから平均を学ぶ時間があれば、自分を棚卸して、自分を見つめ、何をするのか・しないのかを見つめた方が良いと私は思っています。

「愚者は平均に惑い、賢者は自己に学ぶ」のです。生涯学習とは自己を学ぶことなのです。そして自己を学ぶことは、一番有意義でかつ安上りな自由時間の使い方でしょう。老後の自由時間、恐れる足らずです。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする