昨夜懇親会の後、いつものように名古屋在住のIさんと大名古屋ビルの裏の洋風居酒屋で一杯飲んだ。Iさんは明日セミナーのため、高山に行くとうので、いつもより早めに切り上げて店を出ようとした時、入り口近くで立ち飲みをしている外人3人組と眼が合った。
「こっちに来いよ」というので、近くのホテルに寝に帰るしか用事がない私は彼等とちょっと飲むことにした。
見知らぬ外人さんと話をしても良いかな?と思った背景には、先週のカナダ旅行がある。折角外国に行ったにも関わらず、カナダではレストランのウエイター・ウエイトレス相手位にしか英語を話す機会がなかった。しかも彼等・彼女等と一発でこちらの英語が伝わらないこともあり、私は多少憂鬱な気持ちになっていた。「随分英語が下手になったな?」と思ったのだ。
ここ3年ばかりの海外旅行にネパールが中心で、余り英会話に不便は感じなかったが、英語を母国語にする国にいくと、発音の悪さが足を引っ張ったようだ。だが多少負け惜しみをいうと、英語を母国語をしない人々は「色々な国の人は色々な英語を話す」ということを理解しているので、日本人の英語を受け入れることができるが、英語を母国語とする連中は自分たちの英語を完全なものと考えているので、日本人の英語を許容する力に欠ける・・・と言えないでもない、と私は思う。
50代後半の3人組は米国西海岸を生活拠点にしているが、航空機の仕事で名古屋に駐在しているという。「勤め先はボーイングか?」と聞くと、そうだという返事。
やがて子どもの話に話題が移り、シアトルをベースにしている男が自分には10歳と8歳の子どもがいる、という。「じゃ後10年以上は働く必要があるね」と私。「そう」「ボーイングには定年はないのか?(アメリカの会社は「定年は差別になるので一般に定年制がないことはしっていたが敢て質問)」と質問。すると彼は「僕はcontract basisで働いているので、定年は関係ない。それにボーイングには定年はないんだ。働きたい間働いていることができるのさ」と答えた。
Contract basis (job)は「契約ベースの仕事」で、契約社員とか個人事業主に該当する。自由裁量が大きいが、パフォーマンスが悪いと契約期限に契約打ち切りとなるリスクはある。
「ところであなた達、どうして日本で働くことを選んだの?」という質問に対して、少し前まで中国で働いていた男は「中国はこりごりさ。だから日本で働く道を選んだんだ」という。また別の男は「日本は安全できれいだから最高さ。冬にはスキーができるからね」という。
会社の辞令一つであちこち転勤しないといけない日本のサラリーマンに較べると、contract basisの彼等の方が、かなり自由な生活設計ができるように見えた。
「ところでアンタは何を仕事にしているの?」と聞いてきたので「私はもうregular jobからは卒業したよ。今では私もcontract basisで働いているよ」というと、彼等はビールグラスをあげて「それはgoodだ」と口ぐちに言った。
確かに私はある会社の顧問をしているので、contract basisで働いている、という言葉に嘘はない。もっとも「飛行機の開発」といったビッグプロジェクトに携わっている(だろう)彼等のcontract basisに較べるとかなり軽いものだが。
彼等との会話にはあまり不便を感じなかった。恐らく彼等が私に気を使ってゆっくりしゃべってくれたからだろう。
そしてふと思った。この前のカナダでウエイターたちに通じにくかったのは、カクテルの名前が多かったが、ここしばらく外国でカクテルを注文することがなかったので、カクテルの発音がいい加減になっていたのだと。
ネパールではビールやロキシー(現地の焼酎)を注文することはあるが、カクテルを頼むことはカトマンズの高級ホテルのバー以外ではありえない。高級ホテルのバーには滅多に行かないから、ほとんどカクテルを注文することがなかったのだ。
やはり英語は慣れであると思った次第。