マイナンバー法の実施まで1カ月を切った。
個人的なことをいうと、10月1日に千葉県の某市でシニアの方向けにマイナンバーに関する講演を実施するので、プレゼン資料をまとめなければいけない。9月の5連休は山に行く予定なので、パワーポイント資料作成は後4,5日でまとめなければならない。
以前から準備していた資料は、法案が改正され、基礎年金番号との連結が1年半伸びたことなどから、かなり修正を加える必要がある。預金口座へのマイナンバーの紐づけもシニアの方の大きな関心事だろうから、触れる必要がある。
そこにもってきて、先週末から消費税を10%に引き上げる時の飲食料品への影響緩和策として「マイナンバーを使った還付金」制度という財務省案が急に明るみにでてきた。この問題にも触れねばなるまい。還付申請はパソコンやスマートフォンからマイナンバー関連サイトに入り申請を行う、というのが財務省案だから、情報端末の取扱いに不慣れな方は不安を覚えているかもしれない。
個人的には財務省案は天下の愚法だと思っているので、声高に反対を唱えたいのだが、セミナーでは余り個人的な意見を押し付けたり、必要以上に情報漏えいの危険性を煽ることも好ましくないと考えているので、少し頭の痛い問題だ。
ただ消費者として国民として「おかしい」と思う事は、色々な場で「おかしい」と言ってください、と位は言っておこうと思う。
マイナンバーについてある程度情報をお持ちの方でも、漠然と不安を感じているのは「マイナンバー制度を小さく生むという政府は最終形をどこまで広げようとしているのか?」という点が見えない点だろう。
週間エコノミストにマイナンバーに関する内閣府の実務担当者・福田峰之氏のインタビュー記事がでていた。
「目指している世界観を一言で表現すると『カード1枚で生活できる』だ。財布にカードが何十枚も入っている人がいるが、私がやっている仕事は、それを1枚にすることだ。」
「マイナンバーを知られたら情報が芋づる式に取られるというのは、まったくの事実誤認だ。番号はただの「名前」。私が「福田 峰之」と知られてまずいことはないのと同じだ。私は自分の番号が入ったTシャツを作ろうと思っている」
マイナンバーが入ったTシャツを政府の高官が着るのはいかがなものなのだろうか?かたや政府はマイナンバーカードの裏側の番号が見えないケースを作ろうとしているという話があるなかで。
まあ、福田氏の無邪気な勇み足はよしとしても、多くの国民が彼と同じ世界観を持っているかは大いに疑問だ。
マイナンバーにクレジットカードやポイントカードが一体になった時の利便性を認める人もカードの紛失・盗難などによる悪用リスクを考えると尻込みするかもしれない。
また政府や行政担当者の総がも福田氏のような世界観を持っているかも疑問である。
マイナンバー制度を分り難くしているのは、政治の本当の意図がどの辺にあるのか?そしてそれはコンセンサスが取れているのか?マイナンバー先進国の米国や韓国で多発している「なりすまし被害」に対する対策は十分なのか?といったことに説明が不足していることにあると思われる。その一方で、消費税の還付をマイナンバーカードで、などという話がでてくるので、色々な音が反響してますます分り難くなっているのである。
来月中旬頃から11月にかけて、全世帯に簡易書留で送られる予定の個人番号通知カード。ある民間シンクタンクの予想では1割位は手もとに届かず戻ってくる可能性があるという。高邁な理想を進める前に実務のハードルは意外に高いかもしれない・・・