金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

マイナンバー制度、四方八方の音が乱反射する・・・

2015年09月09日 | 社会・経済

マイナンバー法の実施まで1カ月を切った。

個人的なことをいうと、10月1日に千葉県の某市でシニアの方向けにマイナンバーに関する講演を実施するので、プレゼン資料をまとめなければいけない。9月の5連休は山に行く予定なので、パワーポイント資料作成は後4,5日でまとめなければならない。

以前から準備していた資料は、法案が改正され、基礎年金番号との連結が1年半伸びたことなどから、かなり修正を加える必要がある。預金口座へのマイナンバーの紐づけもシニアの方の大きな関心事だろうから、触れる必要がある。

そこにもってきて、先週末から消費税を10%に引き上げる時の飲食料品への影響緩和策として「マイナンバーを使った還付金」制度という財務省案が急に明るみにでてきた。この問題にも触れねばなるまい。還付申請はパソコンやスマートフォンからマイナンバー関連サイトに入り申請を行う、というのが財務省案だから、情報端末の取扱いに不慣れな方は不安を覚えているかもしれない。

個人的には財務省案は天下の愚法だと思っているので、声高に反対を唱えたいのだが、セミナーでは余り個人的な意見を押し付けたり、必要以上に情報漏えいの危険性を煽ることも好ましくないと考えているので、少し頭の痛い問題だ。

ただ消費者として国民として「おかしい」と思う事は、色々な場で「おかしい」と言ってください、と位は言っておこうと思う。

マイナンバーについてある程度情報をお持ちの方でも、漠然と不安を感じているのは「マイナンバー制度を小さく生むという政府は最終形をどこまで広げようとしているのか?」という点が見えない点だろう。

週間エコノミストにマイナンバーに関する内閣府の実務担当者・福田峰之氏のインタビュー記事がでていた。

「目指している世界観を一言で表現すると『カード1枚で生活できる』だ。財布にカードが何十枚も入っている人がいるが、私がやっている仕事は、それを1枚にすることだ。」

「マイナンバーを知られたら情報が芋づる式に取られるというのは、まったくの事実誤認だ。番号はただの「名前」。私が「福田 峰之」と知られてまずいことはないのと同じだ。私は自分の番号が入ったTシャツを作ろうと思っている」

マイナンバーが入ったTシャツを政府の高官が着るのはいかがなものなのだろうか?かたや政府はマイナンバーカードの裏側の番号が見えないケースを作ろうとしているという話があるなかで。

まあ、福田氏の無邪気な勇み足はよしとしても、多くの国民が彼と同じ世界観を持っているかは大いに疑問だ。

マイナンバーにクレジットカードやポイントカードが一体になった時の利便性を認める人もカードの紛失・盗難などによる悪用リスクを考えると尻込みするかもしれない。

また政府や行政担当者の総がも福田氏のような世界観を持っているかも疑問である。

マイナンバー制度を分り難くしているのは、政治の本当の意図がどの辺にあるのか?そしてそれはコンセンサスが取れているのか?マイナンバー先進国の米国や韓国で多発している「なりすまし被害」に対する対策は十分なのか?といったことに説明が不足していることにあると思われる。その一方で、消費税の還付をマイナンバーカードで、などという話がでてくるので、色々な音が反響してますます分り難くなっているのである。

来月中旬頃から11月にかけて、全世帯に簡易書留で送られる予定の個人番号通知カード。ある民間シンクタンクの予想では1割位は手もとに届かず戻ってくる可能性があるという。高邁な理想を進める前に実務のハードルは意外に高いかもしれない・・・

 

 

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日経平均21年7カ月ぶりの急騰、センチメントってそんなに簡単に変わるの?

2015年09月09日 | 金融

今日(9月9日)日経平均は1,343.43円(7.7%)上昇した。1日の上げ幅としては21年7カ月ぶりの上昇らしい。午後2時頃には4年何カ月ぶりの上昇というニュースが流れていたので、引けにかけて株価は上げ足を早めた。

昨日の米株高を引き継いだ上、安倍首相が法人税引き下げに言及したことなどが日本株の上昇に拍車をかけたようだ。

市場関係者のコメントではrisk-onのスイッチが入った、ということだが、たった1日、2日でリスク・オフからリスク・オンにスイッチが切りかわるものか?と少々呆れていた。

かって銀行で株式投信の販売を始めた頃、「外国株投信」のリスクは「日本株投信」のリスクよりも高い、とリスクプロファイルを説明するように本部の指示があったことを記憶しているが、リスクをボラティリティ=変動幅とすれば、日本株の価格変動率は明らかに米国株よりも高い。

今はそんな説明をしていないと思うが一度確認してみたいものだ。

底値買いをするつもりはなかったが、自宅で仕事をしていると、野村證券から「トプコンの株を引き受け販売するので、少しどうか?」という電話がかかってきた。東芝が益出しのため、トプコンの株を売却し、野村證券やみずほ証券が引き受けたので、それを昨日の終値から6%引いた値段で売り出すという。

トプコンについて細かいことは知らないが、大昔銀行で新規取引を開拓した懐かしい先なので、少し買ってみた。それにしても東芝は泣きっ面に蜂だったろう。今年春先には3千円をつけていたトプコン株が昨日は1,600円位まで下がっていたからだ。もっともここで買ったトプコンが値上がりする保証はどこにもないが。

会計不祥事と世界的に荒れた相場は色々なことを引き起こす。そして時には意図せずリスク・オンのペダルを踏まされることもある、と苦笑いした次第だ。

 

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教育(今日行く)はなくても、教養(今日用)はある・・台風の朝

2015年09月09日 | うんちく・小ネタ

この話は私が時々講演を行うNPO法人シニア大樂の事務局長・藤井さんの話の受け売りで恐縮なのだが、藤井さんは「シニアに大切なことは教養と教育です」という。

教養とは「今日用事がある」ことで、教育とは「今日行くところがある」ことですと言うと、講演に参加しているシニアの方が一斉に笑う。もっとも私が他のセミナーで同じことを言っても、笑いを取れるかどうか分らないが。

笑いを取る小話というのは、話し手の風貌・全体の話の流れ・小話のタイミングなど総てに関わるので、簡単ではない。でも小難しい話をする前にこんな小話を入れる才覚があれば良いな、と思うことがある。

さて実際のところは、今日は教育がない。つまり台風の中、今日絶対に行かないといけないところはない。幸いなことに。一般的には「今日行くところがない」ことは寂しいことだが、台風の日などは「教育」がないことに感謝する。(笑)

一方「教養」がないか?というと「今日用事はある」。より正確にいうと、今日するか明日するかは別として、数日中に完成しないといけない用事はある。それは来週と3週間後に迫ってきたセミナーの準備である。

来週のセミナー資料は完成しているので、セリフの部分を整理しながら、小話の一つでも入れることはできないか?と知恵をひねることにしている。

3週間後の方は、まだパワーポイント資料を10枚位作成する必要がある。

シニアになると自由な時間が増えてくるが、色々なことに手を出し始めると「タスク管理」が必要になってくる。「教育」(今日行くところ)を管理するのは、カレンダーに印をつける(私の場合はグーグルカレンダーに書き込んでいる)だけで良いが、少し先の用事のために何日かにわたって作業する場合は、最初に「全体でどれ位の作業量になるか?」「どのような資料を収集すれば良いか?」などの全体計画が必要になってくる。

シニアには「教育」が必要なことは間違いないが、より頭を使う「教養」も大切だ、と感じる次第だ。

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【イディオム】Explain away 米株急騰するもまだまだ視界不良

2015年09月09日 | 英語・経済

昨日(9月8日)は4連休明けの上海市場の株価が3%近く上昇したことなどを好感し、大幅上昇した。ダウは390.30ポイント(2.42%)上昇、S&P500 は48.19ポイント(2.51%)上昇した。

しかしこれで株価が底を付けたという見方は少なく、まだ先行きを懸念する声が強い。

USA Todayは「株価を懸念する3つの理由」をあげていた。

The destruction has left serious marks the bulls still cannot explain away.

Explain away は「うまく釈明する。言い抜ける」というイディオム。文章全体では「市場の崩壊は強気論者がうまく釈明することができない深刻な傷跡を残している」という意味だ。

さて3つの理由とは

【ダウがまだコレクション領域にある】

コレクション(調整)とは、直近の最高値から10%以上株価が下落した状態をさす。昨日急騰したとはいえ、ダウはまだコレクション領域を抜け出していない。

【S&P500は200日移動平均線より下にある】

S&P500とナスダックは、コレクション領域から抜け出したが、S&P500の株価はまだ200日移動平均線以下だ。200日移動平均線は過去1年間の株式の平均取得価格を意味する。つまり現在の株価が移動平均線以下であるということは、含み損を抱えている人が多いことを示し、株価が移動平均線を越えてくると「戻り売り」が出ることを示唆している。

【米国株式市場以外に問題が山積み】

米国株の下落は年初来2%半ばの下落まで戻してきたが、日経平均は10%下落している(今日は大幅反発するだろうが)。

米国の新規住宅価格は5.3%下落し、コモディティ価格は14.5%下落している。

私はやがて米国株は反発すると見ているが、まずは来週のFOMCの結果を見たいと考えている。

もっとも相場には「まだはもう」という格言がある。相場の底を見つけることは難しい。

★    ★    ★

最近出版した電子本

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