goo blog サービス終了のお知らせ 

金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「相続問題が新聞記事になり難い」理由~中日新聞記者の話から

2015年09月06日 | 相続

先週金曜日(9月4日)一般社団法人 日本相続学会のセミナーで中日新聞の白井記者の「新聞記者から見た相続問題」をいう講演を聞いた。

白井記者からは冒頭で「相続問題は新聞記事になり難い」という話があった。

「記事になり難い」理由として同記者は次のことをあげていた。

  • 相続問題は生活部記者が書くことが多いが、生活部は介護・医療・家計等の部門別担当制になっているが、相続問題の担当記者はいない。
  • 記者クラブ所属の記者は、自治体や大企業の発表資料をもとにして、記事を書くことが多いが、相続問題を扱う記者クラブはない。
  • 相続トラブルの実例を生々しく描写できればいいが、実例をなかなか見つけることができない。

なお白井記者は約1年前から中日新聞で「よーく考えよう相続」というシリーズ記事を書いたところ、「肉親などへの憎しみにあふれた相続トラブルを綿々と訴える手紙」が何通も来るという意外な反響があった、と述べていた。

まずどのような話題が新聞記事やブログなどで人気を博するか?ということを考えてみた。

【出来事・事件の異常性】

「犬が人を噛んでもニュースにはならないが人が犬を噛んだらニュースになる」という諺がある。人が犬を噛むということは異常だからニュースになるのだ。しかし犬が人を噛み殺したら、ニュースになるだろう。それは異常なことだからだ。

単なる夫婦喧嘩では新聞記事にはならない。しかし夫婦喧嘩の結果殺人事件にまで発展すると記事になる。もっとも理由は何であれ殺人事件は記事になる。それは異常なことだからだ。

【有名人・著名人の出来事】

一般人の夫婦喧嘩や離婚の話はそれだけでは記事にならない。しかし話が有名人・著名人になると記事になる。相続争いも然りだ。これは一般人の中に有名人・著名人に対する潜在的な「やっかみ」があり、有名人・著名人が不幸な目に遭ったニュースを見ることで溜飲を下げるからである。

【悪者がはっきりしている話】

加害者・被害者がはっきりしている話は、話題に取り上げやすい。特に国や大企業等が加害者=悪者になっている(と思われる)場合は話題に取り上げやすい。良く言えば読者の正義感を鼓舞するといえるし、下世話にいうと、読者の溜飲を下げる効果があるからだ。

【シロクロがはっきりして、誰でもそれなりの意見が言える話】

複雑な経済問題や制度問題には、シロクロがはっきりしないものが多い。また何かを述べようと思うと、かなり勉強しないと意見を述べることができない案件もある。しかしこのような話題は長続きする記事にはならない。読者が飽きてしまうからだ。

以上のような切り口から見ると「相続が記事になり難い」ことが一層良く分るはずだ。

相続争いは増加しているが、殺人事件にまで発展するケースはあまり聞かない。つまり異常性が乏しい。

相続争いは、世間一般の争い事同様、必ずしも「悪者」がはっきりしていると言えない場合が多い。むしろ双方に相応の言い分がある場合が多いと考えてよいだろう。

相続争いで是非を判断するには、判例等に関するそれなりの知識が必要だ。だから誰でもが思いつきで意見を述べる訳にはいかない。

ということで「相続争い」は記事になり難いのだが、「相続税」問題は時々記事になったり、スポンサー付の特集が組まれることが多い。これは「相続税」問題が、スポンサーである銀行・証券・生命保険会社・不動産会社等にとってビジネスチャンスの切り口になるからだ。

相続により1年間に動く財産額は50兆円程度と推測される。仮に1件の相続財産を5千万円として、年間百万人の人が死亡する(実際はもう少し多い)とすれば、50兆円になるからこれは現実的な数字だ。50兆円という市場は巨大だから、金融機関は争ってセミナーを行い、囲い込みを図る。

そこで対象となるのは富裕層だ。手間暇を考えると一件あたりの相続財産が大きい顧客を囲い込む方が良いに決まっている。そして囲い込んだ顧客には、相続税対策や遺言書などによる相続争い回避策が伝授されるという仕組みだ。

だから「相続争いは富裕層よりもそれ以下の層で起こりやすい」という見方もある程度説得力がある。

ところで、公平な見方をすれば、「相続争い」は社会的にみて、どれほど重要な問題なのだろうか?

相続争いによる調停件数は年間約1万5千件だ。

これに較べて年間の自殺者の数は低下傾向にあるとはいえ、年間3万人弱。世界的にみて日本は自殺率の高い国だ。

警察が受理する年間の行方不明者数は8万人を超える。

人の命に関わるクリティカルな問題に較べると、滅多に命まで取られることはない相続争い問題は「記事になり難い」のかもしれないと思う。

では多くのマスコミが自殺や行方不明者の問題をどれ程真剣に取り上げているか?というとこれまた問題かもしれない。

もし自殺や行方不明が「日常的な出来事」とになり、ニュース性を失ったとすれば、それは中々恐ろしい問題だと思うのだが・・・

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

犬山でサルを撮る

2015年09月06日 | ライフプランニングファイル

一昨日(9月4日)犬山のモンキーセンターに出かけた。11月に一般社団法人 日本相続学会の研究大会を同センターで実施するのでその下見である。既に研究大会の実行部隊である名古屋支部が下見・打ち合わせを行っているので、若干物見遊山的な面はあるのだが(笑)。

モンキーセンターには、名鉄犬山駅からバスに乗り、モンキーパークで下車する。進行方向に向かって左側が「モンキーパーク」で右側が目指す「モンキーセンター」だ。モンキーパークにはプール等の遊園施設があり、夏も盛況だが、お猿さんしかいない「モンキーセンター」の夏は閑散期です、とセンター管理者はいう。

なお犬山駅からはタクシーでもワンメーターの距離だ。

センター内は研究教育室長の高野室長(理学博士)に案内して貰った。

「モンキーセンターは初めてですか?」と高野氏。「初めてだ、と思います。近くの明治村には2度ほど来たことはあるのですが。」と答える。「犬山城には来られたことがありますか?」と高野氏。「一度あります」と私。

高野さんは「モンキーセンターはこのあたりで犬山城についで古い施設です。明治村は50年ですが、モンキーセンターは60歳になります」という。

さてモンキーセンターではまずリスザルを見学。

 

動物写真は眼に焦点が合うことがポイントなのだが、リスザルの眼をとらえることは難しい。

次にワオキツネザル。

こちらもソッポを向いている。

良い写真を撮るには、こちらも地面に這いつくばる必要があるのだろうが、高野さんの前でいきなり寝っ転がる訳にも行かないので、今回は良い写真を撮ることは断念した。

次にゴリラやチンパンジーのいるエリアへ移動。ゴリラは檻の中なので気に行った写真は撮れず。

チンパンジーはちょっとお疲れの様子。

高野さんによると、しかし、チンパンジーは獰猛で野生のチンパンジーはゴリラよりも危険ということだ。

「ゴリラなら投げ飛ばされる位ですみますが、チンパンジーには噛み殺される危険があります」

「噛み殺すといえば、最近日本猿が雷鳥のヒナを食べるというニュースがでていましね。サルは肉食もするのですか?」

「一部のサルは肉食もしますが、肉食の割合は少ないですね。一番肉を食べるサルはホモ・サピエンスです」と高野さん。

高野さんによると、ワオキツネザルなど一部のサルの体脂肪率は数パーセントと低く、水に浮かないそうだ。だから泳ぐことができない。ワオキツネザルの生息地域は水堀で囲まれていて柵はなかった。柵がなくてもワオキツネザルは逃げることができないのだ。

サルは進化とともに、好戦的になり、ホモ・サピエンスでその頂点に達したのかもしれない、などと考えながら、モンキーセンターを後にした。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

財務省(相)の常識は世間の非常識~消費税の還付提案

2015年09月06日 | ニュース

今日(9月6日)の読売新聞トップは、麻生財務相が「軽減税率は面倒くさい」と与党合意に反する意見を述べたことだ。

麻生氏の意見は財務相の原案を支持するもので、財務相案は「食料品を含め一律消費税を10%に引き上げ、後から食品について2%相当分を還付する」というものだ。

正確な還付を行うためには、最低2つの仕組みが必要だ。

まず消費者が今年10月から実施される個人番号をカード化した「マイナンバーカード」(来年1月から申請者に交付される予定)を用意しておく必要がある。「マイナンバーカード」の申請・取得は任意とされているが、食品購入に関する消費税軽減が還付型になるとすると、事実上「マイナンバーカード」の取得・携帯は必須となるだろう。

財務省は「マイナンバーカード」の取得率100%を目指して、還付型提案を行ったのだろうが、「マイナンバーカード」については現段階で幾つか問題があることを考えねばならない。

まず今年10月段階で、個人番号が全国民に正しく通知されるかどうかという問題だ。個人番号は「住民票に記載された住所」に簡易書留で郵送されるが、幾つかの理由で住民票に記載された住所に住んでいない人がいる、という事実がある。ドメスティック・バイオレンスからの逃避などがその理由に挙げられる。まず個人番号の通知率がどれ位になるか?ということは重要なポイントだ。

次に個人番号が通知されたとしても、「マイナンバーカード」を申請・取得する人がどれ位いるか?という点について現時点では不明ということだ。「マイナンバーカード」は便利な仕組みだが、セキュリティに関する懸念から当初は取得を躊躇する人もいると考えらえる。

次に小売業者に関していうと、「マイナンバーカード」リーダーをそろえる必要があり、そのリーダーをマイナンバーとその番号で購入された食品・金額を紐付けされたデータを国税局に転送するネットワーク(当然現在はないが)に接続するがある。

これは中小の小売店には大きな負担となることは間違いない。

ところで最近は高齢者でも、食品・日用品を運搬負担の軽減からインターネットで注文する人が増えているが、仮に消費税軽減が還付型になるとすれば、インターネットで購入する場合の「マイナンバー」確認はどうなるのだろうか?

仮にその都度ICカードリーダーを使った認証が必要だということになると、インターネット利用は不便だ、と敬遠される可能性がある。

一方一度マイナンバー確認を行けば、その都度確認は不要という仕組みになると、インターネット利用は便利だ、ということになり、消費者行動に変化がおきるかもしれない。

また食品をインターネットで販売する側にも、厳密なマイナンバー管理が求められるので、その負担も大きいはずだ。

以上のようなことをざっと相続するだけでも、「マイナンバー利用による消費税の還付」が「軽減税率の導入」より面倒くさくないとは

考えられるない。

食品の軽減税率は欧米諸国がほぼどこでも導入している制度である。器用な日本人が導入できない訳がない。

「軽減税率はめんどうくさい」という言葉は詭弁以外のなにものでなく、その背景には別の意図がある、と言わざるを得ない。

それが「そもそも軽減税率に反対」なのか「マイナンバーカードの普及促進」なのかあるいは別の何かなのかはちょっと見えないが。今のところ。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする