金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

山小屋の詰め込み、何とかならないものですかねぇ

2015年09月24日 | 

9月の連休は好天続き。今後しばらくこの時期にこれ程連続する休暇はない、ということで山には大勢の登山者が入っていました。山小屋は超満員で、三俣山荘では2枚の布団に5人が寝るという状態でした。こうなると夜中に一度小用に立って戻ってくると寝るスペースがありません。それと隣人のいびきの凄さに辟易しました。

「混雑が嫌なら連休に登山に行かなきゃ良いじゃない。どうせいつも暇なのだから」と言われそうです。そうです。私一人なら混雑する連休に山に入る必要はありません。ただしまだ一緒に山を登っている連中が毎日会社勤めをしているので、グループ登山となると連休利用が多くなります。

山では私よりシニアの方を多く見かけました。「わざわざ混雑する連休に来なくても・・・」と思うのですが、皆さんそれなりの事情をお持ちなのでしょう。

今年の春先にこの連休はボルネオ島のキナバル山に登る計画を立てていました。その後起きた大地震でキナバル登山は不可能になりましたが。そこで黒部の山旅を行った次第なのです。

キナバル登山で一番難しいのは、山小屋の予約なのです。地震が起きる前で大体1日の入山者は200名程度に絞られていた様ですね。昨年台湾の玉山に登りましたが、こちらも山小屋は1軒しかなく、入山者は1日100名弱に絞られていたと記憶しています。

ネパールにも何回かトレッキングに行きました。ネパールには入山数制限はありませんが、山小屋(ロッジ)は2-3人一部屋で一人一つのbedが確保されています。これら諸外国の山小屋事情と比べると日本の山小屋はかなり「異常」です。異常な理由を幾つか考えてみました。

1)畳とベッドの違い

外国で登山・トレッキングを発展させたのは英国人です。彼等はベッドで寝ます。だから一人一ベッドが大前提。一方日本人は畳+布団が基本ですから寝るスペースはベッドより柔軟に設定できます。でも異常な混雑を見ると柔軟性がbackfireしていると感じます。

2)キッチン能力の違い

ネパールの山小屋では、トレッカーは自分でメニューを選択することができますが、日本では全員同じ単一の食事を食べます。

またネパールでは現地で採れた野菜や卵が中心のメニュー。レトルト食品の利用はまずないでしょう。またネパールの火力は薪が中心。つまり食事の供給能力に圧倒的な違いがあります。また「夕食は第1班が4時15分にスタートして40分おきに5回転」などという神業的な運用は外国では考えられません。ここでも日本人の器用さがマイナスに働いている気がします。

3)以上のような「供給能力」の違いに加えてユーザー側のマインドも違いますね。日本では「連休なのだから混雑しても仕方がない。飯が食えればいい。安眠ができなくても少し休めて山に登れれば良い」という意識が強いと思います。通勤(通痛)ラッシュに慣らされた悲しい性の産物かもしれなせんが・・・・

さて色々愚痴や文句を並べましたが、次に建設的な提言をしましょう。

第1は登山者・山小屋・国や企業が意識を変えることです。レジャーの意識を変えることです。つまりレジャーはリラックス・リフレッシュする場だ、という意識を持つことです。

第2はより具体的な提言。山小屋は「予約制を徹底し、定員を守りましょう」。予約していない登山客は泊めない、ということを徹底することです。つまり街のホテルや旅館と同じ営業をするのです。「緊急時に宿泊に困った登山客を救う義務が山小屋にある」という意見も出そうですが、ちゃんとした登山者はビバーク(緊急露営)の準備はしているものです。ちゃんとした登山者はツエルトや非常食・コンロ位は持っていますから緊急露営は可能です。だからあらかじめ「予約者以外泊めません」ということを徹底すれば良いのです。

第3は「山小屋の週末・休日料金を高めに設定する」ことです。これはホテルや旅館では今では当たり前の話です。こうすると時間に余裕のある人は平日登山を行い、登山客の分散を図ることができます。登山客の分散は自然資源のoveruseを防ぐためにも必要なことです。

第4はJRなどが平日旅行を促進する価格政策を進めることです。私のようなシニア世代になると「大人の休日倶楽部」を利用するとJR東日本の料金は最大3割引きになりますが、例えばこの割引を「平日4割・終末祝祭日2割」などと変えると良いと思います。

第5は登山者が「山は空いている方が良い」という意識を強く持って可能な限り平日登山をすることです。

第6は国がこれ以上祝祭日を増やさないことです。本当は祝祭日を減らすべきなのですが、一旦作ったものを減らすのは難しいでしょう。せめてこれ以上は増やして欲しくないと思います。

第7は企業がもっと有給休暇の取得を促進するべきです。私は自分のサラリーマン経験から「休みを取って遊ばない人には本当の仕事はできない」と考えています。本当の仕事というのはcreativeな仕事という意味です。Creativeな仕事をする人は結果にコミットします(どこかのコマーシャルにありますね)。逆に成果を挙げることのできないサラリーマンは「勤務態度」に拘ります。でもそんな社員を揃えても会社は良くならないということを経営者は早く認識する必要があると思老います。

まあこの提言が受け入れらるには時間がかかるでしょう。

企業経営から退いた今の私にできることは「二度と長い連休の混雑する山には行かない」という位のことなのでしょうが・・・・

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黒部源流の山旅~絶景写真編

2015年09月24日 | 

連休中に黒部川の源流付近の山々を歩いてきました。

簡単にコースを紹介すると長野県大町の奥の高瀬ダムから出発して、北アルプスの主稜線の一角烏帽子岳に至り、そこから南下して岩苔乗越から黒部源流に降り、三俣山荘に登り返します。そして鷲羽岳を往復して、黒部五郎岳を越えて岐阜県神岡に近い飛越トンネルに降るというものでした。

高瀬ダムは信濃川の支流・高瀬川にあります。飛越トンネルは神通川上流にあります。水系で見ると北アルプス北部の東を流れる高瀬川からスタートして、北アルプス北部を二分する黒部源流を横断して、北アルプス北部の西を流れる常願寺川上流の有峰ダムを眺めながら、その西の神通川上流まで降るという北アルプス横断の旅でした。

北アルプスは大きくいうと「Y字型」の山脈です。Yの字の真ん中には黒部川が流れます。Yの右枝がやや長く白馬岳から北に延びる山脈は犬が岳を経て日本海に至ります。

Yの左側は立山・剣岳を越えて毛勝山・僧ケ岳を経て宇奈月に至ります。このYの字の交点にあるのが、三俣蓮華岳です。ここは長野県・新潟県・富山県の県境が接するところです。

さて最初に登ったのが烏帽子岳です。

小ぶりな岩山ですが烏帽子そっくりです。

頂上からは四十八池という池塘群が見えます。紅葉がきれいでした。

写真写りが良いのは岩山です。岩山というとこのコースからよく見えるのが槍ヶ岳です。

写真は三俣山荘から撮った槍ヶ岳です。左続く稜線が数々のドラマを生んだ北鎌尾根です。

三俣山荘のすぐ上にそびえる鷲羽岳も写真写りの良い山です。深田久弥は日本百名山の中で「黒部と言えば、その谷の深さと険しさと美しさとで有名だが、その黒部川が産声をあげるのが鷲羽岳である」と書いています。

鷲羽岳から見る三俣山荘と三俣蓮華岳も絵になる風景です。夜テントに灯りがともる頃きれいな写真が撮れると思ったのですが、

そのチャンスはありませんでした。

今回撮った写真の中で一番気に入っているのが、朝日に輝く黒部五郎岳です。

黒部五郎岳2,840mは実に堂々とした山です。標高が3千メートルを切ることと岩登りの対象でないことで剣岳や槍穂高に較べると地味な存在ですが、黒部の盟主です。

黒部五郎岳を越えて赤木岳に登ると黒部五郎岳の北面が見えます。堂々とした山容ですが、写真写りはカールを抱く東面が良いですね。

カールの底には巨石がゴロゴロしています。太古日本にも氷河があったことの痕跡です。

黒部五郎岳の山頂からは笠ヶ岳・乗鞍岳・御嶽が良い具合に重なって見えます。

北ノ股岳に着くと有峰湖が見えました。長かった山旅のフィナーレが近づいてきました。

北ノ股岳からは西に延びる尾根を降ります(飛越新道)。

頭上には青空と北ノ股岳ののびやかな稜線が広がり、足元には草紅葉が広がっています。

「また来てみたい景色」の一つですが、飛越新道のドロドロのヌカルミを思うとちょっと躊躇したりして・・・(笑)

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