昨日の午後はNPO法人「シニア大樂」で「円満な相続を進めるポイント」という講演をしてきました。昨日のイベントは「楽しい講演と落語」というテーマの公開講座で7-80名のシニアの方が参加していました。
講演は「ドイツ人の合理的ケチケチライフ」「きらわれない話し方 明るい会話で生き生きと」「円満な相続を進めるポイント」そして最後が落語協会真打の三遊亭圓王師匠の古典落語です。
私以外の人の演題は「楽しい」ものですが、相続などというテーマはあまり楽しいものではありません。
私の前にお話された平川仁美さん(話し方一級講師)は「嫌われる話の一つは専門用語をポンポン出すような話し方」と言われたのですが、相続の話となると法律用語で話をせざるを得ませんから、聴講の方には嫌われたかもしれません。(笑)
さて三遊亭圓王師匠の落語。演題は「鼓が滝」。
粗筋は摂津の国の有名は「鼓が滝」に行った西行が「伝え聞く鼓が滝にきてみれば沢辺に咲きしタンポポの花」と歌を読む。
日が暮れて道に迷った西行は1軒の農家に一夜の宿を求める。そこで晩飯をご馳走になったお礼に翁の求めに応じ、前述の歌を披露する。しかし翁・媼とその孫が西行の歌を「音に聞く鼓が滝を打ち見れば川辺に咲きし白百合の花」と手直しする。
直された歌の良さに驚いた西行が3人の身分を聞くと3人は自分たちは和歌三神(住吉明神・人丸明神。玉津島明神)の化身だと身分を明かし、西行の歌に対する慢心を戒めた・・・というものです。
この話を膨らませて圓王師匠は約30分の話にしました。師匠は「プロの噺家というものは、同じを話を短くやれ、といわれると幾らでも短くすることができますし、長くしろ、といわれると長くすることができます」と言いました。素人の噺家さんは筋を覚えるのが精一杯で、このような調整はできないそうです。
プロの芸は奥が深いと改めて感心しました。
私も時々講演をするのですが、同じテーマでも聴衆の方の反応や与えられた時間を考えながら、話の流れを変えたり、雑談を入れるなどの工夫を凝らすようにしています。学会のセミナーのように「このテーマの話を聞こう」と聴衆の方が決めている時は話がしやすいのですが、昨日のように色々な講演が混じっている時は、総ての聴衆の方が私の話を目当てに来られている訳ではありませんから、気を使いますね。
「人を引き付ける話をする」というのは、学び続けるテーマの一つですね。