昨日(8月21日)の米国株相場はダウ、S&P500は小幅上昇、ナスダックは小幅下落と小動きだった。今秋はジャクソンホールでに中央銀行総裁の会合等イベントが控えているので、まずは様子見、ということだったろう。
しかし先々週のシャーロッツビル事件以来、米国企業トップとトランプ政権の亀裂が明確になり、企業減税やインフラ投資といったトランプが掲げてきたプロビジネスな政策の実現性に懐疑的な投資家が増え、投資家のセンチメントが変わりつつあることは事実だ。
これが約8年間続いてきた上昇相場の大きな転換点になるのかどうか?
それが分かれば誰も苦労しないが、投資家としては何かを決断しなければならない時が近いことは間違いない。無論何もしないという決断を含めてだが。
弱気の材料としては、弱気の投資家が増えていることだ。米国個人投資家協会の調査によると、今後半年で株価が下落すると予想する人は約33%でこれは5月以降で最大の割合だ。
一方強気の見方をする投資家は34%。因みに昨年の大統領選挙後は9週間連続で4割以上の投資家が強気な見方を示していた。
このような投資家の心理はチャートに現れている。先週S&P500の株価は50日移動平均線を下回り、100日移動平均線に近づいている。これは弱気相場のシグナルだろう。
一方強気の材料といえば、8月の消費者景況感指数が97.6(7月は93.4、市場予想は94.5)と好調だったことだ。もっともこの好材料はシャーロッツビル事件後の株価大幅下落の中に埋もれてしまったが。
政治の混乱や北朝鮮問題等悪材料はあるが、米国景気が底堅いことに変わりはない。
さて景気と雇用が堅調なのにインフレ目標に届かないジレンマを抱えるイエレン議長はジャクソンホールで次の利上げについてどのようなヒントを与えるだろうか?
最近発表されたサンフランシスコ連銀のレポートは「労働需給がタイトでも、賃金があまり上昇しない理由は団塊の世代が退職する一方リセッション時代に職を得ることができなかった若年層がフルタイムジョブに着き始めていることにある」と指摘している。このレポートは連銀幹部も注目しているとそうだ。
このような雇用構造の変化が賃金上昇を抑えているとすると、当面大幅な賃金上昇は見込みにくく、インフレが加速する可能性は低いということになる。素直に判断すれば、連銀は予防的な政策金利引き上げ策を急ぐ必要なないということになり、それは株価にはプラス材料と思われるが、連銀議長がどのような発言をするかは予想がつかない。
ということで先の見通しについては弱気シナリオの割合を高めて、しばらく様子見。もし大幅な株価下落があれば、買い場と考えるということだろうか?