トランプ政権のゴタゴタが続いている。昨日は就任後わずか10日間でスカラムチ広報部長が解任された。一方選挙公約の減税やインフラ投資拡大にはまだ具体的成果は見えてこない。
一見でたらめのようなトランプ政権だが、最大の功績は政局の混乱で、ドル安を招き、その恩恵で米国企業の業績が拡大していることかもしれない。
ICEドル指数は今年に入って9%下落している。個別通貨ではドルは対ユーロで10.9%、対円で5.6%下落している。
弱いドルは日欧企業にとって頭の痛い話。アナリストの予想ではユーロが対ドル10%上昇するとユーロ圏の企業の利益は4,5%減少するという。
一方ユーロ高・円高は国際的に業務を展開する米国企業には追い風だ。弱いドルが輸出競争力を高めるからだ。
私は今のドル・ユーロ相場は実勢以上にユーロ高に傾いているのではないか?とみているが、それは米連銀の早期の金利引き上げ期待に対する反動や具体策が見えてこないトランプ政権の高成長政策に対する嫌気が入っているからだ。
就任前から「高いドル」に不満を述べていたトランプ大統領が、政局を混乱させることでドル安を招いているとすれば大した役者である。
ドル安は日本株を直撃する。過去5年の日経平均とドル円相場の相関係数は0.9だという。実際米国株は先月も上昇を続けたが、3か月間上昇してきた日本株は下落に転じた。
個人的にはこのままドル安が続くとは思っていないが、当面の日本株の上値が重いことは間違いないだろう。