昨日(8月25日)ジャクソンホールで行われたイエレン連銀議長のスピーチでは、市場が期待していた今後の金利引き上げに対する言及はなかった。
市場ではイエレン議長が金融引き締めに言及するのではないか?という予想があったため、言及しなかったこと自体連銀が金利引き上げを急いでいないのではないか?という見方がでたようだ。
その結果、米国国債の金利は低下し、ドルは主要通貨に対し値を下げた。またダウとS&P500は、小幅上昇し、ナスダックは小幅下落した。
イエレン議長は足元の景気や金融政策に言及するかわりに、連銀が10年前の金融危機以降取ってきた金融規制強化策の正当性を擁護した。
トランプ大統領は「2010年のドット=フランク法による金融規制強化により、お金を借りたい人が借りることができなくなっている」と規制緩和を訴えているが、イエレン議長はスピーチの中で「金融規制改革は、不当に信用供与や経済成長を阻害することなく、金融システムの回復力を著しく高めた」と述べた。もっともイエレン議長は今後規制緩和について連銀は再評価・見直しをコミットすると付け加えた。
イエレン議長の任期は来年2月に終了する。トランプ大統領はイエレン氏も次の連銀議長の候補の1人であるとは言っているが、今回のジャクソンホールでのスピーチは、ホワイトハウスにネガティブな印象を与える可能性は大きい。
その結果国家経済会議議長のゲイリー・コーン氏が連銀議長候補にノミネートされる可能性が高まったと思われる。
ゴールドマンザックスの社長を経験したゲイリー・コーン氏が連銀議長を務めることになると、約40年ぶりに経済学者以外の人が連銀議長にを務めることになる。
これから先市場の関心事は次の連銀議長候補に向かっていくだろう。