暦の上では立秋(8月7日)を過ぎて、処暑に向かっている。処暑は暑さがやむ、という意味で朝夕しだいに冷気が加わる時期らしい。その処暑まで後10日ほどだが、今日の暑さからして果たして朝夕冷気を感じることがあるだろうか?と悲観的になっている。
最近WSJに日本の話題が登場することは少ないが、今日読んだ記事Adding up the cost of climate change in lost livesの中で日本ではこの夏100名以上(大部分は高齢者)が暑さで死亡したという話題が引用されていた。
記事は最近発表されたシカゴ大学を中心とする研究グループのレポートを取り上げたもので、統計的な推計を使うと追加的な温暖化ガス規制等が行われない場合、2099年には地球の気温は4度上昇し、単純予想では年間14百万人が暑さで死ぬと予想される。ただし所得が上昇することでエアコンを買う人が増えることや野外で作業をする人が減ることを加味すると実際に死亡する人は年間150万人と推計されるという。
暑さが健康状態に与える影響は一様ではない。まず64歳以上の高齢者の場合、猛暑による脳・腎臓・循環器系にダメージを受ける危険性が高まる。
所得水準も猛暑による死亡率に影響を与える。アメリカのヒューストンでは35度以上の猛暑日1日について10万人当たりの死者が0.5人増えるが、同じ程度に暑いエジプトのカイロ(所得水準がヒューストンの1/10)では、猛暑による死亡率が10倍である。
上記の研究は世界を2万4千の地域に分け、年齢構成や所得の影響をなどを考慮しながら、猛暑による死亡者の増加を予想しているので科学的なアプローチと言えそうだ。
しかし富裕な地域はエアコンをフル回転させ暑さをしのぐから、猛暑による死亡リスクを低減させるということは、エアコンの排熱で回りの気温を上昇させることを意味する。
そうおもうとますます暑くなる話である。