今日(8月17日)日経新聞(ネット版)に「トルコ投信2000億円目減り 個人に打撃」という記事がでていた。
記事によると大和投信が販売しているトルコ・ボンド・オープンは前年末比53%安と半値以下になっている。
トルコは金利が高い(政策金利は18%程度)ので、証券会社の中には運用難に悩む個人投資家向けに積極的にトルコリラ債券や債券投信を積極的に販売してきた会社がある。
私の後輩の中にもそのような証券会社に勤めていた人がいたので数年前「トルコリラは為替リスクが高いよね。リラが急落するとどうするの?」の聞いたところ「投資家には債券の満期時点で円転させずにリラのまま新しい債券に乗り換えることを勧めています」という答えが返ってきたことを思い出す。
私は基本的に「わからないものには投資をしない」方針なので、トルコリラへの投資はほとんどない(「ほとんどない」というのはグローバルバランスファンドが少量のトルコ国債を保有している可能性があるからだ)。
従ってトルコリラの急落については直接の影響は受けない(間接的には世界の投資家がリスクオフになり株式相場が下落、リスク資産の円などが買われるという影響は受けている)ので、リラ問題について詳しく調べてはいない。
ただ相場が急落した場合、ボトムフィッシングを狙って買いに入る人がいるが、今回のリラ下落についてここを買い場と判断するのは早計だろうと考えている。
トルコ経済は比較的順調と聞くが、トルコは財政と経常収支の赤字という基本的な問題を抱えている。トルコが発行している外貨建て国債は同国の50%に及ぶという。
国債が自国内で消化されているか外貨建てで外国人投資家に保有されているかは財政上極めて重要な問題。日本がこれだけの財政赤字を抱え、GDPの2倍に及ぶ国債を発行しながらも、国債金利がほとんど上昇しないのは、日本国債の大部分が国内で消化されているからだ。
CNBCはロンドンベースのPrincipal Global Investorsの代表Jim McCaughan氏の「リラは小反発しているが、基本的にはリラ危機は続くだろう。基本的には何も変わっていないからだ」というコメントを紹介していた。
基本的に何も変わっていない一例としては、エルドアン大統領による中央銀行の金利政策に対する介入などだろう。
トルコ中銀のインフレターゲットは5%だが実際のインフレ率は15%。本来は中央銀行は政策金利を引き上げて加熱した経済を引き締める必要があるのだが、大統領が反対しているということだ。
と分かったようなことを書いたが、トルコのことは詳しくないし、あまり調べるつもりもない。理由は簡単だ。金利が高い債券というものは金利が高い分だけリスクがあり、そのリスクをとって投資する妙味はないと私は考えているからだ。