金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ペーパーレス会議に取り組む

2018年09月14日 | デジタル・インターネット

私の顧問先は年内にオフィスを移転して、それを機会に社内無線LANを大幅に導入する予定だ。

そしてそれを足がかりにして、digital transformationを進めようとしている。Digital transformationをここでは「IT技術を活用した業務の効率化」とザックと定義しておこう。

無線LAN環境との関係でいえば、役員会等社内会議のペーパーレス化を上げることができる。

ペーパーレス化というと、決裁書の電子回覧や経費支払における領収書の電子的保存なども上げることができるが、私はペーパーレス会議が費用(コスト・導入時間)対効果の面で導入効果が一番高いのではないか?と感じている。

領収書の電子的保存については、電子帳簿保存法という法律が求める要件を満たす必要があり、導入に時間がかかる。決裁書の電子回覧には法律的な要件はないが、案件によっては起案部署と社長・役員が膝を突き合わせて議論をした方が良いものもあるので、総て電子回覧をするのが良いのかどうか若干懸念を持っている(ただし顧問先では導入予定)。

これら2つに較べると社内会議のペーパーレス化は、導入が簡単で効果を簡単に予測することができる。

顧問先のペーパーレス化では、クラウド上でサービスを提供する会社と利用者分のアカウント契約を結び、利用者がクラウドサーバーに保存された資料をタブレット端末やタブレットPC(Surfaceなど)から閲覧する仕組みを採用している。オンプレミスだとサーバー購入の手間と時間がかかるが、クラウド版であれば、すぐ利用することができる。極論をすると1,2日で運用可能といって良いだろう。

紙ベースで会議資料を配る場合は、印刷・とじ込みの時間がかかるが、ペーパーレスの場合はPDF化された資料を簡単な操作でクラウドサーバーにアップするだけなので、資料ができた後の手間と時間はほとんどない。

また資料はデスクトップPCなどから閲覧できるので、自分のデスクや自宅のPCから簡単に読むことができる。社外役員なども事前に資料を読むことが可能になる訳だ。

印刷・とじ込みあるいは資料の差し替えにかかる手間と時間がほとんどないので、人件費と物件費(紙代・印刷代)の節約につながる。

また会議の席でも発表者が、タブレット等から資料にアンダーラインを引いたり、矢印を挿入することができるので、話がわかりやすくなる。

一方ディメリットがない訳でもないと思っている。最大のディメリットは、資料のデジタル的閲覧になれていない人にとっては、紙で読んだ方が頭に入りやすいということだろう。

私も時々キンドル本を読んでいるが、内容が頭に残るという点では紙の本の方が上だ、と思うことは多い。

これは慣れの問題なのか?あるいは本質的に人間の脳は紙と親和性が高いのか?

その辺りのことは専門家でないので私には分からないが・・・

ただ私の顧問先のように古い会社でも、会議のペーパーレス化に取り組みだしたので、社会全体ではペーパーレス化はどんどん進んでいるのだろうと感じている。

ペーパーレス化が目指すところは経費削減だけではないはずだ。ペーパーレス化の本当の目的は情報を効率的に共有して、知的コラボレーションの中から新しい価値を生み出していくことにある。

20数年前に会社でパソコンを導入し始めた頃「パソコンを使えない社員は淘汰されるのではないか?」という懸念が囁かれたことがあった。だが実際にはそのようなことは起こらなかった(私が見聞きする範囲では)。

むしろ淘汰されたのはパソコンでもできる仕事しかできない社員であった。

この経験から考えるとペーパーレス会議が普及した場合、淘汰されるのはペーパーレスの資料の読み込みに苦労する社員ではなく、資料の裏まで読めない社員なのであろう。

資料の裏まで読む眼力を「眼光紙背を徹す」というが、ペーパーレス社会が到来するとこの格言も死語になるだろう、やがて。

ただしその言わんとするところは死ぬことはないと思う。

 

 

 

コメント
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