先週金曜日(7月5日)に発表された米国6月の非農業部門雇用者数は、市場予想を上回る224千人だった。失業率は3.7%に上昇したが、これは職探しをする人が増えたことによるものと考えられた。時間給の増加率は2月の3.4%からは低下しているものの、3.1%と堅調だった。
以上のことから、貿易問題や欧州景気の鈍化といった成長阻害要因はあるものの、雇用統計は、米国の景気は堅調ぶりを維持していることを示唆した。
雇用統計を受けて、市場参加者の間では今月末のFOMCで連銀が0.5%の政策金利引下げに動く可能性は大きく後退し、金利引下げがあるにしても0.25%の小幅引下げに留まるという見方が広まった。この結果金曜日の株式市場は0.2%ほど下落した。
さて問題は過去に連銀が政策金利を引き下げた場合、その後株価は上昇したかそれとも下落したかということだ。
過去の例では、1995年と98年に連銀が政策金利を引き下げた後、株価は上昇に転じていった。
一方2001年と07年では連銀が政策金利を引き下げた後、株価は下落した。特に07年のリーマンショックでは株価下落は長期にわたった。
過去20年程度の実例で見る限り、政策金利の引き下げがその後の株価に好影響を与えたということはできない。
むしろ連銀が政策金利の引き下げを決定した背景の分析が必要なのだ。
2019年前半の米国非農業者雇用者増は月当たり172千人で、減税前の2016年~2017年とほぼ同じレベルで推移している。
目を見張るほどではないが、堅調なレベルというべきだろう。私は個人的には連銀は今月の金利引下げは見送る可能性が高いと判断している。
それにより失望感から株式相場に売りが出るとしても、景気の著しい鈍化による金利引き上げとそれによる株価の一時的上昇よりも良いと考えている。