公的年金だけで老後を送るには2千万円必要という前提を所与として、どうすれば資産運用で2千万円を作ることができるかを考えてみよう。
結論から先に言うと「現時点で資産運用で2千万円を作るには外国株式投資がもっとも可能性が高い」ということになる。
理由は次のとおりだ。
無利息で40年間に2千万円を貯めるには、毎年50万円(月41,666円)づつ積立を続ける必要がある。
仮に年利率3%で運用することができると、毎年の積立額は265,248円(毎月22,104円)になる。
つまり年率3%で資産運用を行うことができると無利息で運用する場合の約半分(正確には53%)の積立額で老後資金を賄うことができる訳だ。
では年率3%で資産運用を行うことは可能なのか?
将来のことは分からないが過去を振り返ると十分可能だった。
米国の株式ベンチマークS&P500の過去30年間の運用成績は9.7%だったから、仮にS&P500に投資を続けていたとすると、この間の為替の変動を吸収して十分目標を達成したといえる。
一方仮に日本株(日経平均)に投資を続けていたとどうなったか?
日経平均の30年間の運用成績は0.18%だからこちらの場合は完全に積立不足に終わった。
老後資金に2千万円必要なのか?どうか?といった議論は暇人やそういう議論をメシのタネにしている人に任せておけばよい。
2千万円という金額水準は別として、何らかの老後資金の準備が必要だと考える人は具体的に何に投資をするかを考えるべきだ。
結論からいうと私はそれはグローバルな株式投資しかないと考えている。
一般に老後資金の積み立ては株式か債券で行うべきだが、現在の低金利では債券投資の妙味は薄い(金利の高い通貨はあるが、為替リスクが大きい)ので、株式投資が本命になる。ではどのように株式投資をするべきか?
超長期にわたって株式投資をするには、まずインデックス運用を中心にすることと世界の株式市場の大きさに比例するような投資分散を行うことである。そうすれば概ね6割弱の資金が米国株式投資に向かい、2割が欧州株式、日本株が1割弱で新興国株式が1割強位になる。
これが考えうる最も合理的な資産配分というものだ。
これから証券会社や銀行が「2千万円不足話」をネタに読者諸氏(みなさま)のところに勧誘の手を伸ばすことが益々増えるだろう。
老後に備えて資産の準備をすることは正しいし、準備をする以上ある程度の利回りがでる運用をしたいと考えることも正しい。
問題はここからだ。その問題を解くには「資産運用とは何か?」ということを考えてみる必要がある。そして資産運用とは株式投資を通じて経済成長の分け前に預かることだ、ということが腹落ちする必要がある。ここの腹落ちがないと、目先の株価の上下に一喜一憂したり、業者の甘い言葉に騙されて美味しいところを持っていかれることになる。
腹を据えて外国株式のインデックス投資を持続することができるかどうかが、資産運用を通じて老後資金の準備ができるかどうかの鍵を握っているのである。