金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

積立で2千万円の老後資金を作るのは外国株式投資をするかしないかの話

2019年07月03日 | ライフプランニングファイル

公的年金だけで老後を送るには2千万円必要という前提を所与として、どうすれば資産運用で2千万円を作ることができるかを考えてみよう。

結論から先に言うと「現時点で資産運用で2千万円を作るには外国株式投資がもっとも可能性が高い」ということになる。

理由は次のとおりだ。

無利息で40年間に2千万円を貯めるには、毎年50万円(月41,666円)づつ積立を続ける必要がある。

仮に年利率3%で運用することができると、毎年の積立額は265,248円(毎月22,104円)になる。

つまり年率3%で資産運用を行うことができると無利息で運用する場合の約半分(正確には53%)の積立額で老後資金を賄うことができる訳だ。

では年率3%で資産運用を行うことは可能なのか?

将来のことは分からないが過去を振り返ると十分可能だった。

米国の株式ベンチマークS&P500の過去30年間の運用成績は9.7%だったから、仮にS&P500に投資を続けていたとすると、この間の為替の変動を吸収して十分目標を達成したといえる。

一方仮に日本株(日経平均)に投資を続けていたとどうなったか?

日経平均の30年間の運用成績は0.18%だからこちらの場合は完全に積立不足に終わった。

老後資金に2千万円必要なのか?どうか?といった議論は暇人やそういう議論をメシのタネにしている人に任せておけばよい。

2千万円という金額水準は別として、何らかの老後資金の準備が必要だと考える人は具体的に何に投資をするかを考えるべきだ。

結論からいうと私はそれはグローバルな株式投資しかないと考えている。

一般に老後資金の積み立ては株式か債券で行うべきだが、現在の低金利では債券投資の妙味は薄い(金利の高い通貨はあるが、為替リスクが大きい)ので、株式投資が本命になる。ではどのように株式投資をするべきか?

超長期にわたって株式投資をするには、まずインデックス運用を中心にすることと世界の株式市場の大きさに比例するような投資分散を行うことである。そうすれば概ね6割弱の資金が米国株式投資に向かい、2割が欧州株式、日本株が1割弱で新興国株式が1割強位になる。

これが考えうる最も合理的な資産配分というものだ。

これから証券会社や銀行が「2千万円不足話」をネタに読者諸氏(みなさま)のところに勧誘の手を伸ばすことが益々増えるだろう。

老後に備えて資産の準備をすることは正しいし、準備をする以上ある程度の利回りがでる運用をしたいと考えることも正しい。

問題はここからだ。その問題を解くには「資産運用とは何か?」ということを考えてみる必要がある。そして資産運用とは株式投資を通じて経済成長の分け前に預かることだ、ということが腹落ちする必要がある。ここの腹落ちがないと、目先の株価の上下に一喜一憂したり、業者の甘い言葉に騙されて美味しいところを持っていかれることになる。

腹を据えて外国株式のインデックス投資を持続することができるかどうかが、資産運用を通じて老後資金の準備ができるかどうかの鍵を握っているのである。

 

コメント
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メンテナンスにはお金がかかる。体も靴も・・・

2019年07月03日 | ライフプランニングファイル

少し前に大きな話題になっていた「公的年金だけでは老後資金不足。2千万円必要」という話。マスコミや政治家は大騒ぎしましたが、世論調査によると多くの消費者の方は冷静に受け止めていたようですね。

2千万円必要の前提条件は、老後の支出を毎月25,6万円程度厚生年金の受給額を20万円程度というものですが、私は自分の経験をベースに毎月の支出はもう少し多くなるのではないか?と考えています。

多くの高齢者に共通する支出拡大要因は医療費です。大きく分けて医療費の内容は3つになると私は考えています。

第一は放置しておくと命の危険にかかわる病気や怪我、あるいは痛くてたまらない病気や怪我に対する治療費です。これは強制的な出費と言えるでしょう。

第二は放置しておいても命の危険にはかかわらないが、不快感が続く病気に対する治療費です。少し前から私は五十肩(既に実年齢ははるかに超えているのですが)で不快感が募りましたので、整形外科で週1回程度、関節腔内に注射を打っています。外科医さんによると、放置しておいても治癒すると思うが相当時間がかかるという話です。つまり注射をしないと、シャツの袖を通す時などに時々感じる嫌な痛みを長い間味わうことになるという訳です。

整形外科医さんに行くとマッサージや高周波治療など理学療法を受ける患者さんを沢山見かけますね。これらの方々は不快感や日常生活の不便を早期に解消するために通院されているのですね。この医療費はある程度選択的な出費だろうと私は分類しています。

第三は健康診断など予防的な医療費です。代表的なものは体全体の定期健診ですが、歯の定期健診もこれに含めて良いでしょう。これは選択的な支出ですね。選択的ではあるけれど、定期健診を行うことで病気を初期段階で発見し、早期治療で治癒する可能性があるので、全体的には強制的な医療費支出を抑える可能性があるといえるでしょう。

この第二第三カテゴリー特に第二カテゴリーの医療費をどれ位支出するか?によって毎月の支出額はかなり変わってくるのではないか?と私は考えています。なお私はほとんどサプリメントを飲みませんが、サプリメント愛飲者にとってはサプリメント代金もこのカテゴリーに加えて良いでしょう。

また健康維持という点ではスポーツジムの毎月の利用料も予防的な医療費に考えても良いかもしれませんね。

このように考えると広義の医療費および健康維持費の幅は広く、個人差があります。そして場合によってはかなりの金額になる可能性があります。

余談ながら最近長年愛用しているビジネスシューズのすり減った踵を張り替え、インナーを新調しました。合わせて4千円近くかかったのですが、これで1,2年は履き続けることができそうです。昔はビジネスシューズは履き潰すことが多かったのですが、最近は手入れをしてできるだけ長く使おうと考えています。古いものを愛おしむ心が強くなってきたということでしょう。

古くなってきたといえば、身の回りで一番古くなっているのが自分の体です。お金がかかっても体は愛おしんでやりたいと思います。

買い替える訳にはいきませんからね。

 

 

 

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